ヨーロッパ各都市で近年、自動車レーンが「自転車専用レーン」に転換され始めているワケ

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ヨーロッパ各地の主要都市で、気候変動対策に向けた交通手段の転換が進んでいる。コペンハーゲンでは住民の45%が自転車で移動。今後しばらくは、電気バス、ハイブリッドバスを中心に導入が進む。

ヨーロッパで広がる電気バスブーム

代替ドライブラインの開発、車両総重量>8tのグラフ(画像:Chatrou CME Solutions)
代替ドライブラインの開発、車両総重量>8tのグラフ(画像:Chatrou CME Solutions)

 都市のバス部門においても、電気式、燃料電池式、CNG、ハイブリッドへの置き換えが着実に進んでいる。2021年にヨーロッパ市場に投入されたバス1万4990台のうち、半数以上の59.4%が新たな駆動方式だった。

 ヨーロッパ市場に投入された新車台数における、各駆動方式の割合は以下のとおり。

・電気バス
2020年:14.8%
2021年:21.7%

・燃料電池バス
2020年:0.3%
2021年:1.1%

・CNGバス
2020年:17.7%
2021年:14.8%

・ハイブリッドバス
2020年:19.7%
2021年:21.8%

 この中で、特にブームといわれるほど顕著な伸びを示しているのは、電気バス(トロリーバスを除く)だ。2021年は、2020年の14.8%から21.7%と、四つの駆動方式の中で大きく伸びている。台数では、2020年は2210台、2021年は3282台とのことである。

 また、ハイブリッドバスも、わずかながら増加している。燃料電池バスも、これらの駆動方式の中において投入台数がはるかに少ないものの、増加傾向にある。

 今後しばらくは、電気バス、ハイブリッドバスを中心に導入が進むと思われる。燃料電池バスは、より低価格の新車が開発され、併せて充電施設などのインフラが整備され次第、加速度的にシェアが高まるとみられている。

自転車専用高速道路の整備も

パリの街並みと自転車(画像:pixabay)
パリの街並みと自転車(画像:pixabay)

 ヨーロッパ各都市において、自動車レーンから自転車専用レーンへの転換が続いている。緊急時における自転車の安全な移動を確保する目的で「ポップアップ式自転車レーン」が、ロンドン、パリ、ウィーン、ベルリンなどの各都市で整備されつつある。特に、新型コロナ感染拡大に伴うロックダウン時に整備が進んだという。

 当初は、緊急時における暫定的な自転車専用レーンが想定されていたが、中には恒久的に使用される区間もあるとのことだ。

 また、自転車専用レーンをさらに進化させたインフラが「自転車専用高速道路」だ。市街地では、自転車専用レーン、交差点で優先される自転車専用道路として設計され、郊外では独立した自転車道路として整備されている。

 オランダでは、1980年代にパイロットプロジェクト(試験的なプロジェクト)を開始し、既に400kmもの自転車専用高速道路が整備された。自転車専用高速道路の整備により、自動車ユーザーの5~15%が自転車に転換したとの評価もある。

 ドイツでは、ゲッティンゲン、ヴッパータール、キールに自転車専用高速道路が整備されているものの、距離は長くなく、都市の一部にとどまっている。このほか、ノルトライン=ヴェストファーレン州において、総延長115kmの自転車専用高速道路「RS1」が計画されているが、現時点ではわずか15kmしか完成していない。

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