年間40件以上発生 「路面電車」の事故はなぜ起こるのか? 鹿児島市電衝突から考える
鹿児島市電で2022年6月11日、路面電車同士の衝突事故が発生した。このような事故はどのくらい発生しているのだろうか。
義務化されていない衝突防止装置

こうして見ると件数は決して多くないものの、報道としての扱いは大きくないが、路面電車同士の衝突事故は年間複数回発生していることがわかる。
そもそも、このような事故はなぜ発生するのだろうか。その理由は、路面電車には
「一部軌道線を除いて、鉄道路線のような衝突防止装置が設置されていないため」
だ。
路面電車に衝突防止装置が設置されていないのは、まず
「法律上義務化されていない」
ことが上げられる。だが、それよりも運用の特性上、車両同士が接近することも多いため、
「運転手が安全を確認するほうが理にかなっている」
という要素が強い。
一般の鉄道と比べて低速で運行している路面電車では、運転手が安全確認をしている限りは問題は起きないが、それを怠ればすぐに事故につながる危険があるのだ。
過去の事故例でも、原因はいずれも初歩的なヒューマンエラーばかりである。冒頭で触れた鹿児島市電での事故でも、運転手が
「ぼーっとしていた」
と証言したことが報じられているが、ほかの事故例でもブレーキを掛けるタイミングを誤ったなどというものが多い。実際、現場の運転手に話を聞くと、運行中は常に周囲に注意を払わないと事故に直結する事例が多いという。
とりわけ多いのが、停留所に降りた乗客が列車の前を横切るときだ。ある市電の運転手からは、
「停留所にいる乗客は『必ず電車の前を横切っていく』と考えていたほうがいい」
と話す。
もっと危険なのは、安全地帯しかない停留所で乗客が降りるときだという。