物流コスト高騰! なんとバブル期比110%も、経営者の怠慢で荷主「ノーリアクション」の現実
物流コストは「ぬれたハンカチ」?

物流コストを支払う側の荷主企業は、この問題にメスを入れられているのだろうか。結論からいうと、現場レベルでの努力はさておき、大胆な改革を実行できている企業は少ない。企業からすれば、物流コストの上昇は認識しつつも、全社コストに占める割合が相対的に小さいからである。
例えば、メーカーの場合、原材料や部品などの調達費が全社コストの50~60%を占めることが多い。次いで大きい費目は、工場で働く従業員の労務費、委託先の企業に支払う外注費、管理部門や営業部門の人件費で、それぞれ10~15%を占める。これらについては、その割合が高いことからコスト構造改革のターゲットになりやすい。特に調達費は不正の温床になることも多く、調達先や価格の妥当性が厳しくチェックされる。
他方、物流費はというと、全社コストに占める割合は5%程度である。しかも、納品のときのみならず、原材料や部品の調達、工場間での製品の輸送でも発生するため、一元管理できていない企業も珍しくない。まして、つい数年前までは微減傾向にあったのだ。誤解を恐れずにいえば、大方の企業では物流管理がおざなりになっていたのである。
筆者(小野塚征志、戦略コンサルタント)は、今までに数多くのコスト構造改革を支援してきたが、調達費を10%以上削減できたことはあまりない。過去に何度も調達改革を実行した企業となると、1%削減できれば御の字だ。
対して物流費は赤字が常態化し、人員整理まで行った企業であるにもかかわらず、20%以上削減できたこともある。全社コストの50%を占める調達費を1%削減するのと、5%の物流費を20%削減するのと、どちらのコスト削減効果が大きいだろうか。掛け算をしてみればわかるが、後者の方が2倍大きいのである。平たくいえば、分厚くても乾いたぞうきんより、ぬれたハンカチを絞った方が効果的ということだ。