横田基地「日米友好祭」 11万人来場で活況も、背後にひそむ「騒音問題」という終わりなき悪夢

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在日米空軍横田基地で5月21日・22日の2日間、「日米友好祭」が開催された。バイデン大統領到着で話題になったが、友好の名の裏には常に「騒音問題」が横たわっているのだ。

基地返還を掲げた石原都政

横田基地の土地面積は713万9452平方メートル。実に東京ドーム153個分の広さ(画像:国土地理院)
横田基地の土地面積は713万9452平方メートル。実に東京ドーム153個分の広さ(画像:国土地理院)

 横田基地を巡っては過去、日本への返還に向けた具体的な動きがあったこともある。1999(平成11)年に石原慎太郎氏が東京都知事に就任した際、選挙公約のひとつに

・横田基地の返還
・民間との共同使用

を公約に掲げていたためだ。

 石原都政スタート時には、返還は具体化するという観測もあり、当時の瑞穂町議会では知事の返還運動を支援することを全会一致で決議するなど、期待が寄せられた。しかし、その後返還に向けた動きは進展しなかった。その理由は、返還の前提として「全面返還による基地の廃止」ではなく、軍民共同使用が掲げられたため、周辺自治体ではより騒音が増すのではないかという懸念が広がり、足並みが乱れたからだ。

 なぜ軍民共同使用が掲げられたのか。それは当時、羽田空港の需要が逼迫(ひっぱく)しており、首都圏に成田空港に続く第三空港が求められており、横田基地を民間空港として使用するプランがあったためだ。そのため、羽田空港の拡張が完了するとともに返還に向けた動きも立ち消えたのだ。

 安全保障問題を考慮に入れても、横田基地が騒音を振りまく、誰もが自宅の近所に来てほしくない施設であることは間違いない。日米友好祭のような華やかなイベントをいくら開催したところで、騒音問題が消えることはない。

 なお、基地の南に位置する昭島市堀向地区(美堀町)の住民は、1965(昭和40)年頃から集団移転を余儀なくされ、570戸が地区を離れている。当時、視察に訪れた国会議員はその騒音を挙げ、「ここは人間の住むところではない」とまで言ったという。

 騒音のほか、過去には重油漏れによる井戸水の汚染、軍用機の墜落事故、部品の落下なども起きている。

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