「EVを買うなら日本車以外で」 いま欧州で何が起きているのか? シェア10%割れが視野に入る、日本メーカーの新たな試練

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2026年5月、欧州の新車シェアで中国勢が12.0%となり、11.3%の日本勢を初めて逆転した。最高45.3%の高率関税を課されながらも、垂直統合による圧倒的なコスト力と戦略的なPHV展開で障壁を相殺。現地生産の加速や技術標準化を巡り、自動車産業の前提が激変する地政学的再編の裏側を読み解く。

高関税を相殺する垂直統合のコスト力

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 今回の逆転を理解するには、中国車が優れているか、日本車が劣っているかという二項対立ではなく、どのような市場条件のもとで競争が行われているかという構造に注目する必要がある。

 欧州連合(EU)は現在、中国製EVに対して基本税率に最大35.3%を上乗せする最高45.3%の高率関税を課す。通常であれば、この水準の関税は国内産業を保護する一方で価格競争力を大きく損なう要因となるが、中国メーカーの持つコスト力はその影響を相殺して余りある。例えばBYDの小型EVドルフィンは、ドイツにおける公式プロモーション等を通じて、競合となる欧州車であるルノーなどの約半額という破格の価格設定で販売され、関税障壁のもとでも優位性を保ち続ける。

 この圧倒的な強みの源泉は、自社内でサプライチェーンを完結させる垂直統合モデルだ。BYDは元来バッテリーメーカーであり、原材料の調達から独自のブレード・バッテリー(リン酸鉄リチウムイオン電池)の製造、車両組立に至るまでを一貫して行うことで、他社が追随しにくい生産コストの削減と高い利益率を実現した。さらに、中国という巨大な国内市場を背景にした大量生産は、各生産要素を一定割合で増加させた以上の生産量効果をもたらす規模の経済を発揮させる。激しい価格競争が続く中国国内市場で培われたこの強固な競争力が、グローバル市場へと展開された形である。

 さらに、中国メーカーは規制の枠組みに対して柔軟に対応する商品戦略をとる。高関税の対象となる純EVへの依存を避け、関税対象外であるプラグインハイブリッド車(PHV)の輸出を急速に強化する動きがその一例に挙げられよう。市場のルール変更に対して即座に製品構成を変化させる開発サイクルは、デジタル家電に近いスピード感を持つ。展開されるPHVの性能も市場の要求に適合しており、中国メーカーは関税という障壁を正面から突破しただけでなく、制度の条件に合わせて商品群を動的に変化させることで、競争力を連続的に拡大してきた。

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