なぜ川崎市は「横浜市営地下鉄」計画を受け入れるのか? 延伸含む1500億円規模の越境交通、採算見直しの行方とは
横浜市営地下鉄の新百合ヶ丘延伸が正念場を迎えた。工事費高騰で約1500億円に上る事業は採算性の見直しを迫られ、2030年開業は延期へ。横浜・川崎が1対1で費用を分担する『越境延伸』の裏で、需要創出や運行収支の行方はどうなるか。今年度中に示される新計画案を前に、その深層に迫る。
新百合ヶ丘延伸の延期と計画見直し

横浜市の山中竹春市長は、2026年5月26日に開かれた基本計画特別委員会で、藤代哲夫委員(自民党)の質問に答える形で、横浜市営地下鉄3号線(ブルーライン)「あざみ野~新百合ヶ丘間」延伸の進捗状況と今後の見通しを示した。
「延伸を進めるには国の鉄道事業許可が必要であり、その条件である採算性を確保するため事業計画の見直しを進めている。具体的には沿線の土地利用誘導による需要の創出や工事費の精査など収支改善に向けた取組を進めている。検討を加速させ、川崎市と連携しながら今年度内に今後のスケジュールを含む新たな事業計画の案を示すよう全力で取り組みたい」
この質疑の内容は2026年7月3日時点で、速報版として同市の公式サイトに掲載されている。
同事業は、横浜市営地下鉄ブルーラインを現在の終点である横浜市青葉区のあざみ野駅から、川崎市麻生区の小田急線新百合ヶ丘駅南口付近まで延ばす計画である。延伸距離は約6.5kmで、既設のあざみ野駅を除き、新駅を4駅設ける。横浜市交通局が第一種鉄道事業者として事業主体となり、地下高速鉄道整備事業費補助を前提とした枠組みを想定している。当初は2030年の開業を目標としていたが、山中市長は2026年2月の時点で、2030年の開業は難しい状況にあると明言している。
今回の特別委員会での山中市長の回答は、表現としてはやや慎重な印象もあるが、計画を調整しながら前に進める姿勢は示している。