「EVを買うなら日本車以外で」 いま欧州で何が起きているのか? シェア10%割れが視野に入る、日本メーカーの新たな試練

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2026年5月、欧州の新車シェアで中国勢が12.0%となり、11.3%の日本勢を初めて逆転した。最高45.3%の高率関税を課されながらも、垂直統合による圧倒的なコスト力と戦略的なPHV展開で障壁を相殺。現地生産の加速や技術標準化を巡り、自動車産業の前提が激変する地政学的再編の裏側を読み解く。

欧州の逆転劇が示す市場の構造変化

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 欧州市場において、自動車産業の勢力図が新たな局面を迎えた。2026年5月の新車販売実績において、中国系自動車メーカーの月間シェアが初めて日本メーカーを上回るという動きが現実のものとなっている。

 この背景には、統計上の変化も作用した。欧州自動車工業会(ACEA)が2026年4月からボルボ・カーズの販売実績を親会社である中国の吉利グループに統合して集計するよう統計手法を変更したためだ。これは、資本や技術の融合によって企業の国籍という従来の枠組みが薄れ、グローバルな供給網が進化している実態を映し出したものといえる。この新ルールの適用後わずか1か月で、市場の勢力関係が具体的な数値として表れる結果となった。

 実際の販売動向を見ると、市場の構造変化は明確に進む。比亜迪(BYD)、上海汽車(SAIC)、吉利グループ(Geely)、奇瑞汽車(Chery)、Leapmotorからなる中国主要5社の販売台数は、前年同月比65%増の13万8410台に達し、市場シェア12.0%を獲得した。対照的に、トヨタ、日産、ホンダを中心とする日本の主要6社の販売台数は同3%減の13万424台にとどまり、シェアは11.3%へ後退する形となった。

 この現象は、個別の企業の優劣という次元を超え、消費者の選択基準や市場全体の仕組みそのものが拡張している事実を示す。独自動車研究センターのビアトリクス・カイム氏からは

「欧州の消費者はEV(電気自動車)の購入を検討する際、日本車を候補として考慮には入れていない」

という指摘も出されており(『日本経済新聞』2026年7月2日付け)、長年培われてきたエコカーとしての優位性の基盤が、電動化の進展にともなって移行しつつある様子がうかがえる。市場での需要動向や規模の経済性の影響もあり、欧州における日本車のシェアが1980年代初頭以来となる10%割れまで変化するリスクも予測される中、産業の軸足は新しい競争の潮流へと向かって動き出した。

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