なぜカー用品店で女性の「つきそい」が2割強を占めるのか?──見過ごされてきた来店実態が映す店舗ビジネスの変化、加速する新たな動き
3兆円規模の自動車用品市場が将来の縮小を見据えるなか、カー用品店の間で「滞在」の価値を高める動きが本格化している。着目すべきは、女性の来店目的の2割強を占める同行者の存在だ。顧客の可処分時間を巡る争奪戦のなか、これまで見過ごされてきた作業待ち時間をどう収益化するか。二極化する店舗の未来を追う。
二極化する未来の店舗形態

国内の自動車部品・用品市場は、部品単価の上昇や、13.32年まで延びた乗用車の平均使用年数を背景に堅調な動きを見せている。前年度比2.4%増の3兆1032億円という市場規模から、さらに3兆2630億円(同5.1%増)へ拡大が見込まれるなど目先の需要は力強い(『矢野経済研究所』自動車部品・用品市場に関する調査を実施(2024年)。2025年6月17日発表)。だがその裏で、人口減にともなう車両総数の減少という大きな流れ自体は変わっていない。
足元の底堅さと将来の規模縮小が見える現状は、商売のあり方を変える格好の準備期間だ。この間に打つ手によって、5年後、10年後に残る店の姿はふたつにわかれるだろう。
・これまで通り修理や販売に特化する店
・居心地の良さや店内の回遊を取り込む店
である。効率を追求する店は確実な需要をすくい取れる反面、市場が縮小する局面において、多様化する来店動機についていきにくくなる。もう一方は、投資や運営の負担が増えるものの、家族でやってくる時間を心地よくし、修理の用事だけに頼らない強みを持つ。これは縮小市場のなかで一組の世帯がもたらす価値を膨らませる試みであり、どちらも市場の要請に応える形で発展していくだろう。
どちらが優れているかは、地域性や競争環境に左右されるため一概には決まらない。カー用品店を訪れる「つきそい女性層」という存在は、店づくりで見過ごされてきた「時間」そのものの現れだ。その時間をどう扱うかによって、車の手入れをするだけの場所に留まるのか、日々の暮らしの新しい接点へと広がるのか、進む先がわかれていくだろう。