なぜカー用品店で女性の「つきそい」が2割強を占めるのか?──見過ごされてきた来店実態が映す店舗ビジネスの変化、加速する新たな動き
3兆円規模の自動車用品市場が将来の縮小を見据えるなか、カー用品店の間で「滞在」の価値を高める動きが本格化している。着目すべきは、女性の来店目的の2割強を占める同行者の存在だ。顧客の可処分時間を巡る争奪戦のなか、これまで見過ごされてきた作業待ち時間をどう収益化するか。二極化する店舗の未来を追う。
物販から滞在空間への転換

一方で、待ち時間を価値へと結びつける動きも現れている。スーパーオートバックスなどの大型店では、家族で来店できるよう、木目調の店内に子どもの遊び場や軽食スペースを整えている。さらに、大型商業施設や映画館が集まる郊外の幹線道路沿いへ出店し、用事のついでに周りでも時間を過ごせるようにした。待合室からピット作業を眺められる工夫も、待ち時間の安心感を育んでいる。
これまでの物販中心のやり方では、以下のようないくつかの壁にぶつかっていた。
「競合による価格競争があまりないせいか、値段が高い。在庫を抱えたくないせいか、あまり商品の品揃えが良くなく、選択肢が少ない」(男性46歳)
「平日は店員が少ないので、商品について不明な点があっても聞く雰囲気でない。休日は混雑してて、聞けるような雰囲気ではない」(男性65歳)
「あまり詳しくないので、わからないことの説明に悩む。プロにこんなことを聞いたら笑われるのではないか?と」(女性28歳)
こうした不満や気後れがあったからこそ、ただ品物を並べて売るやり方から一歩踏み出し、コーヒーを飲める場所を設けたり、車内を楽しくする小物を充実させたりと、店にいること自体を楽しんでもらう取り組みが増えてきた。
収益の源泉が、修理や部品交換から店内で過ごす時間へと移り変わり始めている。これまでは作業そのものばかりに目が向いていたが、同行者の姿は見落とされていた待ち時間の価値を教えてくれている。カー用品店は、手入れをするだけの場所から、過ごすこと自体に意味がある空間へと姿を変えつつあるのだ。