「改札で平手打ち」「車内で傘を……」――駅係員への暴力168件、「理由なく突然に」が52件で最多となる理由
大手私鉄16社で駅員・乗務員への暴力が168件発生した。下期は66件へ減少した一方、深夜帯と飲酒絡みが過半を占める現実も浮上。AI監視や遠隔対応など、“人頼み”から脱却する鉄道インフラの転換が始まっている。
公共の安全を守る運営思想の転換

今回の集計結果を眺めるうえで本当に目を向けるべきは、これからの鉄道が公共の場の安全をどう守り、どのような姿へと移り変わっていくのかという運営側の意思そのものだ。
クルマの世界が自動走行によって人為的なミスをなくそうとしているように、鉄道でもシステムによる保護と、人の手によるサービスの役割分担がはっきりとしてきた。AIによる見守りや自動化が進めば暴力の種は抑えられる。その代わり、駅は困ったときに人に助けを求める場から
「自分自身でスムーズに移動を終える場」
へと性格を変えていくことになる。血の通ったサービスをどこまで残し、どこから機械による効率と安全を優先するのか。この見極めが鉄道インフラの価値を左右するだろう。2025年度下期の66件という数字は、これまでの歩みが実を結んだ結果なのか、あるいは技術による新しい運営の形が生まれる途上の姿なのか。
鉄道各社はいま、利便性と安全を両立させるための土台を整えながら、移動を支える役割をさらに広げようとしている。