日本人より辞めない? 物流業界が明かす「外国人ドライバー」採用の裏側、60%が「採用強化だけでは不十分」と感じる理由とは

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外国人ドライバーの定着は想定以上に進む一方、現場の6割超は「採用拡大だけでは2024年問題を乗り切れない」とみている。管理職281人調査から浮かんだのは、人手不足より深い、日本型物流そのものの維持コストだった。

生活支援と心理的負荷の重圧

外国人ドライバーの採用実態に関する調査(画像:G.A.グループ)
外国人ドライバーの採用実態に関する調査(画像:G.A.グループ)

 職場を去る主な理由は、給与や待遇に対する不満(17.4%)や労働環境(長時間労働や深夜勤務など)に対する不満(23.8%)といった条件面よりも、心理的な負荷に重きがある。なかでも言語や文化の壁によるストレスは45.6%と群を抜いて高く、生活基盤の構築や家族帯同の難しさを挙げる声も33.1%に達した。

 ほかにも母国への帰国や転職(32.7%)、人間関係のトラブル(24.9%)が続く。待遇そのもの以上に、異国の地で日々の暮らしを営み、周囲と折り合いをつけることの厳しさが明らかだ。

 物流企業は、雇い主という立場を越えて、働き手の私生活を支える役割まで背負わされている。住居の確保や行政手続きといった細かな生活支援まで会社が引き受けて、本来の業務とは別種の重い負担となっている。彼らの人生を丸ごと受け入れる覚悟があるかという問いが、現場の肩に重くのしかかっている。

 離職を食い止めるために求められる支援は多岐にわたる。「日本語学習のサポート」が44.5%で最多だが、並行して「日本人従業員に対する異文化理解研修(42.7%)」を必要とする意見も強い。さらに実務研修(35.6%)や生活面の支援(35.6%)、相談窓口の設置(33.5%)が続き、評価の見直しを求める声も25.3%に及ぶ。これほど広範な対応を迫られる現実は、現場の担当者が個人で対処できる領域を、とうに超えている。

 多くの管理職が多様な手立てを求めるのは、日本式のやり方をそのまま外国人に当てはめることが不可能だと悟り始めているからだろう。日本人側の意識を変える教育が重視されている点も、受け入れ側の姿勢を改めなければ現場が回らないという危機感の表れといえる。

 かつての高いサービス水準を死守するのか、それとも働き手に合わせて業務の質や範囲を再設計するのか。経営層は、現場が背負う負担を直視し、大きな決断を下すべき時期に来ているのだ。

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