北海道新幹線「遅延」は転機となるか? 19兆円の波及効果が示す道央経済の“新しい重心”
運輸赤字と非運輸事業の現在地

運輸業の2024年度営業赤字は549億円に達した。広大な路線網を守るための修繕費や安全投資、さらには北国特有の冬季対応といった固定的な負担が重くのしかかる。内訳を見ると、北海道新幹線が124億円、黄色線区全体で148億円と、営業損失の規模は依然として大きい。
札幌圏には明るい兆しが見え始めている。2024年度の営業損失は12億円まで縮小し、2025年度第3四半期累計では21億円の営業黒字を計上した。運賃の見直しや需要の回復に加え、運行本数の最適化が利益に結びついてきた格好だ。この改善は不採算路線の維持コストを自力で賄う土台になりつつあるが、部門全体の赤字体質を引っくり返すほどの力強さはまだ見当たらない。
経営の安定を守るには、非運輸事業の成長が欠かせない。2024年度は不動産業が37億円、ホテル業が20億円、物販・飲食業で8億円などの利益を出し、合計の営業利益は約78億円となった。収益の拠点はやはり札幌駅周辺にある。JRタワーや札幌ステラプレイスを運営する札幌駅総合開発が、駅に集まる通勤客や観光客の消費を確実につかんでいる。
沿線の土地活用を進める北海道ジェイ・アール都市開発や、駅前需要を捉えるホテル事業、駅ナカを支える北海道フレッシュキヨスクなどが、鉄道の生む人流を利益に変える柱として機能している。非運輸事業が利益を積み上げたところで、運輸部門の維持コストを埋め切るには至らない。今なお経営安定基金の運用益や国からの支援で最終損益を支える綱渡りの状態だ。
これからは付帯事業を穴埋めの道具に留めず、鉄道の集客力を活かした投資対象として育てる視点が欠かせない。2026年2月には政府や民間32社から計2676億円にのぼる追加出資がラピダスへ決定した。道内に投じられるかつてない規模の資本。こうした産業基盤の広がりを、いかに不動産や物販の収益増に直結させていくか。JR北海道にとって、それがこれからの経営を占う課題になる。