「MAZDA2」終了は後退なのか? 初期投資を「80%」減らすマツダ次世代戦略、消えゆく「5ナンバー車」の現在地とは
市場の二極化と5ナンバー車の衰退
マツダはMAZDA2の国内生産を終える一方で、タイやメキシコ工場での生産と販売は続ける方針だ。その背景には、
・3ナンバー車と軽自動車への二極化
・5ナンバー車市場の縮小
という日本特有の事情がある。
日本の乗用車は、車体の大きさや排気量によって3ナンバー車と5ナンバー車にわけられている。5ナンバー車は、全幅1.7m以下、排気量2000cc以下などの条件を満たす比較的小型の車で、日本では長く大衆車の中心だった。これに対し、車幅や排気量が基準を超える車は3ナンバー車に分類される。
かつては、3ナンバー車には税負担が重くかかっていたため、多くの家庭にとって5ナンバー車が現実的な選択肢だった。このため各メーカーは、限られた寸法のなかで室内を広く使える車づくりを進め、5ナンバー規格の車を数多く販売してきた。
1989(平成元)年、物品税の廃止と消費税の導入によって、5ナンバー車市場は大きな転換点を迎えた。それ以前、3ナンバー車には「ぜいたく税」とも呼ばれた23%の物品税が課されており、5ナンバー車との大きな差となっていた。
例えば車両価格が400万円の場合、別に100万円近い物品税を納める必要があった。当時は高額な税負担が壁となり、3ナンバー車は一部の層に限られた存在だった。しかし物品税の廃止によって、3ナンバー車は広く手が届く車となり、市場の流れも大きく変わっていった。
ここで、日本自動車工業会の「四輪車新車販売台数」を見ておきたい。
3ナンバー車は、1985(昭和60)年が7万3539台、1990年が46万7490台、2024年が175万5554台だった。5ナンバー車は、1985年が286万9527台、1990年が383万9221台、2024年が76万7551台となっている。軽自動車は、1985年が16万1017台、1990年が79万5948台、2024年が120万2095台だった。
その後、3ナンバー車と軽自動車は販売を大きく伸ばした一方で、5ナンバー車は縮小傾向が続いている。車体の大型化や安全機能の増加によって、これまでの規格に収まる車種が減ったことも背景にある。
それでも、販売のピークだった1990年と比べると、5ナンバー車は約2割の水準まで落ち込んでいる。日本市場では3ナンバー車と軽自動車への流れが強まっており、この傾向は今後も続く可能性が高い。
年間販売が約2.3万台にとどまるMAZDA2も、今後の市場縮小を避けにくい状況にある。マツダが国内での生産と販売の終了を決めた背景には、こうした市場環境の変化があるだろう。