「お客様第一」の終焉? カスハラ主犯は「50代以上の男性」――小田急電鉄が全70駅にボディカメラ導入、その理由とは
カスハラ1513件、被害者の15%が深刻化――現場の限界が制度を動かした。小田急電鉄は全70駅にボディカメラを導入し、記録と抑止でサービス維持に踏み込む。技術で守る現場と、変わる「客と事業者」の関係を追う。
データが暴く「しらふのハラスメント」

国土交通省が設けた「迷惑行為に関する連絡会議」の調べでは、2024年度、駅員などへのカスハラは全国で1513件にのぼった。場所で見ると
・東京:30%
・神奈川:13%、
・大阪:7%
と続き、やはり人の集まる都市部での多さが目立つ。加害者の内訳を探れば、男性が約75%を占め、
「50代から70代」
という顔ぶれに偏っていることがわかってきた。ここで見落とせないのが、酒の影響だ。数字を追うと「飲酒あり」は27%にとどまり、「不明」が42%となっている。この不明分を考慮しても、おそらく6割を超える人々は、
「しらふの状態で無理な要求を突きつけている」
ことになる。酒の勢いに任せた一時的な荒っぽさというより、利用者が心に抱く過剰な特権意識が、理不尽な振る舞いとして表に出ているのではないか。
その一方で、体を傷つけるような暴力は全国で545件起き、その55%は酒を飲んだ上での行いだった。2012(平成24)年度には932件あった暴力の数が、12年でここまで減った事実は重い。殴る蹴るといった行為が犯罪であるという認識が広まった証だろう。しかし、直接的な拳は影を潜めても、
・しらふでの威圧的な物いい
・いつまでも続く抗議
が現場を疲弊させている。電車の遅れに対する行き過ぎた不満などは、もはや働く側への不当な攻めだと捉える空気が、社会全体で着実に広がりつつある。