「お客様第一」の終焉? カスハラ主犯は「50代以上の男性」――小田急電鉄が全70駅にボディカメラ導入、その理由とは

キーワード :
,
カスハラ1513件、被害者の15%が深刻化――現場の限界が制度を動かした。小田急電鉄は全70駅にボディカメラを導入し、記録と抑止でサービス維持に踏み込む。技術で守る現場と、変わる「客と事業者」の関係を追う。

安全運行と定時性を阻害する「時間的搾取」の実態

カスハラ防止ポスターの画像(画像:JR東日本)
カスハラ防止ポスターの画像(画像:JR東日本)

 交通機関の役割は、大勢の人を目的地まで滞りなく送り届けることだ。電車の日常を支えるのは数万人という単位の乗客であり、そのなかにわずかひとりでも、理不尽な理由で駅員に激高する者がいれば、運行の歯車は狂い始める。

 ひとりの対応に駅員が縛り付けられれば、駅全体の安全を見守る目が届かなくなり、結果として列車の遅れを招くこともある。こうした事態を抑えるためにも、行為の内容を克明に記録し、実態に即した手立てを講じる必要がある。

 JR東日本が4月13日に出した、鉄道事業者共同のカスハラ防止ポスターに関するリリースがある。そのなかで目を引くのは、暴力やSNSへの晒し行為と並んで「長時間の拘束」が挙げられている点だ。民間の調べでは、加害者の顔ぶれは

「50代から60代の男性」

が目立つという傾向も出ている。この「拘束」という言葉には、客の側では親しみのつもりで行っている世間話までもが含まれ得る。ひとりの対応に時間を削られることは、他の客への目配りを妨げ、鉄道の定時性を守るための人手を奪う行為にほかならない。

 カメラが捉えた映像を使い、こうした振る舞いが社会にどれほどの損失を与えているかを世に知らしめることは、安全な輸送を維持するための現実的な防衛策となるだろう。

全てのコメントを見る