「SUVはもう限界」 衝撃の米国リポートが示す、車の巨大化&家計コストの知られざる関係

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都市部で進むSUVの大型化は、安全基準の厳格化や収益重視の流れを背景に拡大し、2008年に約2割だったSUV比率は2022年に半数超へ達した。一方で車両の小型化は、支出削減や事故減少、排出抑制など多面的な効果が指摘され、交通のあり方そのものが問われている。

小型化がもたらす経済・安全・環境効果

「コンパクトな都市の電動化:小型車両のメリット」(画像:交通開発政策研究所)
「コンパクトな都市の電動化:小型車両のメリット」(画像:交通開発政策研究所)

「Compact Cities Electrified: The Benefits of Small Vehicles」というリポートをひも解くと、興味深い数字が見えてくる。新車のサイズを2020年の水準に戻すだけで、世界の消費者は

「最大22%の支出」

を抑えられ、燃料消費を12%、交通事故の死者数を9%も減らせるという。同時に、運輸部門の排出量も10%の削減が見込める。こうした支出の抑制は、燃料代の節約に留まらない。車が重くなるほどかさむタイヤや消耗品の交換費用が安くなることも、家計を助ける大きな要因になる。車を動かすための無駄なエネルギーを削ぎ落とすことは、生活を守る極めて現実的な手段といえるだろう。

 リポートの著者は、車両を小さくすることが、結果的に自動車通勤を減らすことにも繋がると説く。歩道を歩く際、大きな車から受ける圧迫感がなくなれば、徒歩や自転車、公共交通機関への乗り換えがスムーズに進む。そうなれば、世界の交通事故死者数は2050年までに40%も減るという試算だ。

 どうしても車が必要な場面でも、サイズを適正に保てば、電動化の効果はより高まっていく。小型のEVであれば、限られた電池の材料を大型車で使い果たすことなく、より多くの人に行き渡らせることができるからだ。一部の層が巨大な電池を積んだ車を占有するのではなく、社会全体で限られた資源を賢く分配する形を目指すべきではないか。

 車両の小型化、車以外の移動手段の活用、そして小型EVの普及。これらを足並みを揃えて進めることで、人類は今世紀半ばまでに燃料需要を85%削減し、エネルギー市場の安定と環境の改善を同時に成し遂げられる。

 FIA財団のシーラ・ワトソン氏は、燃料に頼り切った生活がコストを押し上げている現状を重く見ている。適切な政策を組み合わせることで、燃料への依存を断ち切り、出費を抑えながら気候変動対策を前進させる道が開けるはずだ。主要6か国のデータに専門家の知見を加えた今回の研究は、車両の巨大化が都市に落とす影を浮き彫りにしている。

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