「手取りが減っても、辞められません」 6割のドライバーが直面する、「荷待ち改善」「収入減」が同時に進む物流現場の矛盾

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荷待ちは減ったのに、収入は増えない――。1516人調査で見えたのは、6割が賃上げ実感なし、なお6割が継続希望という現実だ。効率化が進むほど実入りが細る現場で、いま問われるのは利益の分け方である。

効率化神話の限界

物流DXとドライバーの生活実態。
物流DXとドライバーの生活実態。

 今回の調査が浮き彫りにしたのは、効率を追い求めれば万事が解決するという理屈がもはや通用しなくなっている現実だ。

 荷待ち時間の削減が進む一方で、残業代という貴重な収入源が削られ、働き手の実入りが減るという事態を招いている。この仕組みを正面から受け止めない限り、どれほど現場の環境を整えたところで、働き手が将来にわたってハンドルを握り続けられる土台を築くことは難しい。

 今、真に問われているのは生産性の向上などではなく、前述のとおり、

「生み出された利益をどう分配するか」

という一点に尽きる。効率化によって生まれた時間や価値は、いったい誰の手に渡っているのだろうか。荷主側のコスト削減に充てられたのか、あるいは消費者の利便性として消費されたのか。個人の生活を削りながら荷物を運ぶモデルは、すでに限界に達している。6割のドライバーが仕事を辞めないという事実は、決して業界の安定を物語るものではない。むしろ、

「現場が懸命に耐え忍ぶ」

ことでかろうじて保たれている危うい均衡を示している。目先の場当たり的な対応を繰り返すのか、それとも今の仕組みを根底から見直すのか。その重い判断を委ねられているのは、輸送という社会インフラの恩恵を享受している荷主、そして私たち社会の側だろう。

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