「手取りが減っても、辞められません」 6割のドライバーが直面する、「荷待ち改善」「収入減」が同時に進む物流現場の矛盾

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荷待ちは減ったのに、収入は増えない――。1516人調査で見えたのは、6割が賃上げ実感なし、なお6割が継続希望という現実だ。効率化が進むほど実入りが細る現場で、いま問われるのは利益の分け方である。

荷待ち短縮の進展

【2026年】トラックドライバー実態調査(画像:Hacobu)
【2026年】トラックドライバー実態調査(画像:Hacobu)

 荷待ち時間の短縮は着実に進んでいる。半数を超えるドライバーが短くなったと回答しており、現場に横たわっていた非効率がある程度は解消されたことがうかがえる。事実、最も多い待ち時間は「30分~1時間(45.1%)」、次いで「1時間~2時間(23.0%)」となっており、長時間待機は影を潜めつつある。拘束時間についても「変わらない(50.5%)」が半数を占めるものの、「やや短くなった(36.9%)」との声も多く、働く環境の変化は本物といえそうだ。

 しかしこの時間の短縮は、労働が持つ金銭的な価値を削り落とす側面も併せ持っている。これまでのはっきりしない待機時間は、

「ある種のゆとり」

として機能していた面があった。だが、時間が厳格に管理され詰められたことで、作業密度はかつてないほど高まっている。短くなった時間が新たな収入に結びつかない限り、働き手にとっては稼ぐための余地を失ったに等しい。行政や企業の取り組みが成果を上げる一方で、そのしわ寄せが現場の負荷を高める形で現れている。

 収入が減った理由を見ると「仕事量(件数・距離)の減少(44.9%)」や「残業・時間外労働が減った(39%)」が上位を占めている。労働時間を抑え荷待ちを減らしたことが、そのまま働き手の実入りを減らす結果を招いている。ここから透けて見えるのは、これまでの賃金体系が基本給ではなく、長時間の残業代に過度に依存していたという実態だ。

 効率を追い求めて環境を整えれば整えるほど、生活を支えるための原資は細っていく。本来、労働時間の短縮は歓迎されるべき歩みだが、今の仕組みにおいては収入の喪失と直結してしまっている。効率化が即座に暮らしの向上にはつながらず、むしろ過酷な長時間労働こそが収入の柱だったという現実が浮き彫りになった。今の改善は、働き手の生活費を削ることで成り立っているといわざるを得ない。

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