「もう雑魚寝には戻れない」――経常利益129%増、大阪の海運会社が“フェリー”の常識を作り替える新造船戦略

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新日本海フェリーが2026年に新造船「はまなす」を就航、2025年の「けやき」と合わせ290億円投資。連結売上634億円・経常利益34億円の規模で進む更新投資と輸送拡大の実像を示す。

船舶投資の資産性評価

新造船はまなすの船内(画像:新日本海フェリー)
新造船はまなすの船内(画像:新日本海フェリー)

 新造船けやき・はまなすへの290億円の投資は、単年の事業ではなく3年にわたる計画である。それでも、連結売上高634億円、経常利益34億円という規模から見れば、大きな支出に映る。

 ただし海運会社にとって船は有形の固定資産である。新日本海フェリーグループの第58期(2024年4月1日~2025年3月31日)連結決算の貸借対照表では、有形固定資産のうち船舶は1146億2200万円に達する。ここから減価償却累計額626億8500万円を差し引いても、なお519億3700万円の規模が残る。

 同社グループは船ごとの帳簿価額も示しており、2025年3月31日時点で最も高いのは「それいゆ」で99億6000万円となっている。減価償却は定額法で行われ、耐用年数は20年としている。ただし国内の長距離フェリーでは、船の状態が良い場合が多く、海外、とくに東南アジアなどへ売却される例も少なくない。

 運航中は収益を生み続け、減価償却が終わった後も売却によって価値が残ることを考えると、290億円という投資額は見方によっては過大とはいい切れない。また船は有形固定資産であるため、担保としての価値も持つ。実際に同期の「担保に供している資産及び担保付債務」では、船舶494億8700万円が担保に充てられており、この金額は土地や建物を大きく上回っている。

 今回のけやき・はまなすへの大型投資は、足元の業績の良さと今後の見通しを反映したものといえる。同時に、船を中心とした資産形成の一部でもある。

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