「ロマンスカーとは別採用です」 新入社員わずか7人――なぜ巨大鉄道グループは“小さな組織単位”を残すのか?

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箱根ロープウェイで音響体験と気象予測の高度化を進める小田急箱根は、2023年度186億円規模の事業を背景に、小田急連結3952億円の中で比率は小さいながらも存在感を高めつつある。箱根事業の収益構造と再編後の企業像が、グループ戦略の中で改めて注目されている。

箱根事業の収益構造

4月1日に開催された入社式の様子(画像:小田急箱根)
4月1日に開催された入社式の様子(画像:小田急箱根)

 数字の上では小田急電鉄に組み込まれているように見える小田急箱根だが、グループ内では一定の存在感を保っている。

 2024年3月期の機関投資家・アナリスト向け説明会では、「箱根エリアの営業収益は、2023年度241億円、2024年度267億円との記載があり、順調に伸びているようだが、何が含まれているのか」との質問が出ている。これに対し小田急電鉄は、

「箱根エリアの営業収益には、当社鉄道事業の定期外・特急ロマンスカーのほか、箱根登山電車や箱根登山バス等の交通機関、箱根・御殿場のホテル等が含まれている」

と説明している。この説明と前述の数字を照らし合わせると、2023年度の241億円のうち約186億円は小田急箱根グループ3社によるものとなる。

 同年度の小田急電鉄の連結売上高は3952億円である。この時点で箱根エリアの比率は6%弱、小田急箱根グループの比率は5%に満たない水準にとどまっている。

 しかし小田急電鉄が公表した2024年度(2025年3月期)決算資料によると、2025年度(2026年3月期)の連結売上高予想は4250億円、箱根エリアの売上高予想は292億円としている。これにより箱根エリアの比率は7%近くまで上がる見通しであり、訪日客の増加を背景に、同エリアを成長の柱のひとつとして位置付けていることが分かる。

 2026年4月1日、小田急箱根グループの小田急箱根と箱根登山バスは、箱根登山電車100形車両を使って入社式を初めて行い、7人の新入社員を迎えた。同じ日、小田急電鉄もロマンスカーミュージアムで入社式を開き、104人の新入社員を迎えている。

 入社式に関する報道発表はそれぞれ別々に出されており、新入社員の給与水準や待遇、福利厚生の内容も各社で異なっている。

 小田急箱根は、再編を経て小田急電鉄の100%子会社となった現在も、箱根登山鉄道の流れを引き継ぎながら、独自の運営の形を保ち続けていくことになる。

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