「大きいEVはもういらない」 BYDとボルボが狙う、全長4.3mという最適解
車体サイズ収れんの流れ

都市の形や日々の暮らし、インフラの広がり、そして電池技術の進展。これらを重ね合わせると、EVが進むべき道は全長4.3m級のサイズへ収束していくに違いない。そうなれば、車というハードウェアの差は縮まり、勝負の舞台はソフトウェアへと移る。ネットとつながることが当たり前になった今、無線で機能を書き換えるOTA(オーバー・ジ・エア)への対応こそが、車の価値を左右することになる。
正直なところ、このOTAの分野で日本は後手に回ってきた。だが、悲観する必要ばかりでもないだろう。日本メーカーには、長年積み上げてきた安全性や信頼性、品質への執念がある。OTAは一歩間違えれば、不具合や情報漏えいが人命に関わるリスクをはらむ。安全な仕組みを築き、長く使い続けられる信頼を守るという点において、日本の土壌は決して弱くない。デンソーのようにハードとソフトの両面を熟知した企業も多く、車全体を見通した堅実な更新基盤を整える力は備わっている。
地理的な利点もある。アジア太平洋地域では車載OTAの市場が勢いよく伸びており、日本が培ってきた
「安全で長く使える」
という価値観を広げる余地は十分にあるはずだ。もっとも、先を急ぐ中国勢や欧米のテック企業は、
・更新の速さ
・AIの活用
を武器に攻勢を強めている。車をソフトを中心に動くものと捉える発想や、そこから生まれる新たな体験、さらには課金の仕組みといった事業モデルの面では、日本勢の遅れは否めない。
日本が真に強みを発揮するためには、安全規制や品質の基準と切り離せない、安心して使い続けられるOTAの仕組みを自ら形づくることが求められる。それと同時に、部品メーカーから完成車メーカー、さらにはIT企業までが垣根を越えて手を取り合い、サービスのあり方を整えていく取り組みが欠かせない。
この道を進むことができれば、日本勢は単に車体を売る立場を超え、安全で賢い移動を支える「基盤」そのものを担う存在になれるかもしれない。そのためには、何よりもソフトを操る人材をどう育て、惹きつけるかが、最後の、そして最も大きな関門となるだろう。