「ICカードは作りません」 JR四国が売上13億円で選んだ“持たない経営”の帰結、固定費モデルを捨てた鉄道会社の異端戦略とは
JR四国はICカード空白地帯を逆手に取り、スマホ決済「スマえき」で2024年度売上12.93億円(前年比2.5倍)、定期券3.4倍を記録。高速道路網の拡大で車依存が進む四国で、鉄道の生き残り策が問われる。
公共交通の連携強化

JR四国と徳島バスが2022年5月27日に公表した資料「徳島県南部における共同経営」は、地方交通が直面する出口のない窮状を浮き彫りにしている。運行本数の少なさや交通空白地の存在、乗り継ぎの不全、そしてデジタル対応の遅れ。こうした構造的な課題を抱えるなか、人口減少や人手不足、さらには感染症流行にともなう利用者の激減が追い打ちをかけた格好だ。
もはや、限られたパイを事業者間で奪い合う局面ではないのだろう。資料が提示するのは、鉄道とバスを分断させるのではなく、協力して一体の移動手段として提供する共存の姿である。
ここで問われているのは、移動における連続性の確保にほかならない。バスとの接続はもとより、鉄道同士の不十分な連携もまた、利用者を遠ざける要因となっている。
対照的なのは高速道路の存在だ。ETCの普及によって料金所での一時停止はほぼ解消され、ストレスのないシームレスな移動を実現している。鉄道がこの利便性に対抗するには、駅窓口という物理的な障壁をスマートフォンの仕組みへ置き換え、事業者の垣根を越えて機能する共通基盤を整える必要があるのではないか。
自社の路線網を維持することに固執する旧来の姿勢を改め、地域全体の移動をデジタルで支える。経営基盤を立て直すための選択肢は、もはやその一点に集約されつつある。