技能試験の合格率はわずか「6%」 それでも企業が「外国人ドライバー」の採用に1人200万円を投じる理由とは

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外免切替合格率は大幅低下、1人200万円の採用コスト。2030年には27万人不足で荷物36%が運べないとされるなか、外国人ドライバーを“労働力”から“人的資本”へ再定義できるかが物流存続の分岐点となっているという現実が迫る。

採用現場の期待と懸念

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 運送現場において、外国人ドライバーの存在感は急速に増している。調査によれば、すでに約4割の企業が雇用を経験し、さらに約3割が今後の増員を計画しているという。特定技能制度の対象に物流が加わったことで、外国人採用は人手不足をしのぐ一時的な処置から、業界に定着した手段へと変質しつつある。

 現場が求めるのは、高度な語学力よりも、むしろ日々の円滑なやり取りだ。採用時に重視される要素として、日常会話レベルの日本語能力を挙げる企業は53.6%に達し、26.8%に留まる実務レベルの語学力を大きく上回る。

 企業が抱く不安は具体的だ。意思疎通への懸念が63.2%、交通ルールの理解不足が47.0%、そして荷主や顧客からの評価を気にする声が20.2%と続く。2025年10月の免許制度厳格化についても、7割を超える企業が必要性を認めている。ルールの理解促進(69.1%)や事故リスクの低減(49.4%)を期待する声が上がる一方で、37.5%の企業は、これにより人材確保がさらに困難になることを危惧している(『レバレジーズ』2025年11月6日発表)。ひとりあたり200万円(『日本経済新聞』2026年2月12日付け)という巨額の費用を投じながら、合格率1割という現実に直面する。この不確実性とどう向き合うかが、経営の課題として浮上している。

 外免切替という既存の手法が成功率の低さゆえにリスクをともなうなか、新たな選択肢が浮上している。日本国内で免許を取得し、すでに2年以上の運転実務経験を持つ外国人材の確保だ。この手法であれば、入国後の免許取得に要する数か月の待機期間を排し、採用直後からの現場稼働が可能となる。

 こうした動きを支えるのが、専門の支援組織である。例えば日本料飲外国人雇用協会(東京都新宿区)は、2700人以上の外国人材を支援してきた実績を持つ。語学教育や生活支援を網羅し、離職を防ぐ体制を整えることで、定着率を高める試みを続けている。

 国は2029年3月までに特定技能枠で2万2100人の受け入れを目指すが、この限られたパイをめぐる争奪戦はすでに始まっている。ヤマト運輸は500人、SBSホールディングスは1800人の採用を計画しており、大手による囲い込みは加速する一方だ(『日本経済新聞』2026年2月12日付け)。確実な戦力を手元に残せるか。先行する企業が大規模な動員を開始するなか、実効性の高い採用スキームの確立が、生き残りのための条件となっている。

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