営業赤字3億円超でも「観光列車」で奮闘……群馬の第三セクター鉄道、運転士2割減で続く苦境を乗り越えられるか
運転士14人から11人へと21%減少したわたらせ渓谷鐵道が、2026年3月から早朝・夜間2往復を運休。営業赤字は3億4922万円に達し、最低賃金水準の見習い制度の中で人材確保と路線維持の両立が揺れている。
運転士人気低下と人手不足の広がり

鉄道の運転士は、かつて男児の将来のなりたい職業ランキングの上位に入る代表的な職種だった。現在も一定の人気は維持しているが、身近な憧れの仕事としての位置づけは続いている。
しかし近年は、これまでなかった仕事が注目されるようになり、運転士の人気は相対的に下がっている。さらに少子化の影響で、新卒者そのものの数も減っている。人気のある職業であっても、労働市場全体の動きからは逃れられない。やりがいだけでなく、賃金や働く条件も選択の基準となる。こうしたなかで、運転士不足はすでに物流やバスの現場で表面化しており、その影響は鉄道にも及んでいる。
同社が公式サイトで公表している第37期(2024年4月1日~2025年3月31日)の損益計算書によると、鉄道事業の営業収益は1億8693万円、営業費用は5億3615万円で、差し引き
「3億4922万円の赤字」
となっている。費用は収益の約3倍に達しており、自治体の補助なしでは維持が難しい水準だ。運転士不足は深刻だが、賃金を大きく引き上げる余地は限られている。
その一方で同社は、厳しい経営環境のなかでも観光列車「トロッコ列車」の運行や各種ツアーの実施、関連グッズの販売など、収入を増やすための取り組みを続けてきた。
今後は、収入を増やすための取り組みと、運転士不足への対応というふたつの課題にどう向き合うかが問われることになる。