損失最大2.5兆円は再出発の代償か――収益モデル転換の現在地【短期連載】ホンダ「EV敗北論」という虚像(1)
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最終赤字6900億円、損失最大2.5兆円――ホンダの急変はEV投資の失敗で片付けられる話ではない。四輪の収益力とHV戦略の遅れ、そして次世代投資の重圧。数字が示す構造の揺らぎを読み解く。
HV重視への転換

ホンダは、次世代HVをEV普及までのつなぎと位置づけている。エンジン技術を強みとしてきた同社にとって、HVの展開は収益を支える現実的な手段でもある。やや守りに寄った構えとも映る。
2025年の世界HV販売は約76万台。そのうち北米が5割、日本が3割を占める。主戦場の北米で用意している車種は四つにとどまり、トヨタ自動車の29車種とは開きがある。ラインアップはセダンやクーペに偏り、需要の中心にあるスポーツタイプ多目的車(SUV)はCR-Vのみだ。取り込みきれていない需要があるのは明らかだろう。
2030年に220万台という目標を達成するには、新興国での広がりが欠かせない。最大市場である中国では苦戦が続く。独自開発にこだわってきた影響もあり、販売は伸び悩んだ。2025年は前年比で約25%減と、日本メーカーのなかで最も大きな落ち込みとなっている。
背景には、車に求められる価値の変化がある。ソフトウェアによる使い勝手を重視する現地の消費者に対し、機械としての完成度を優先してきたホンダの姿勢は、ややかみ合っていない。現地のニーズに合わせたモデル投入が遅れたことも響いた。
東南アジアでも中国メーカーの存在感は増している。収益を次の投資に回す流れがまだ弱く、負担は減損として表面化している。北米と日本の基盤も盤石とはいい切れないなかで、HV重視にかじを切った。この判断がどこまで成果につながるか、見通しははっきりしない。