「駅まで歩くの、やめました」 通勤利用が45%に達した「電動キックボード」たち! 住宅街の「最後の数百メートル」で起きている異変とは

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通勤45.1%、商業地の仕事利用21.0%。調査が示したのは、電動キックボードが遊びではなく、すでに働く人の移動手段として使われ始めている現実だ。鉄道と徒歩の隙間を埋める「最後の数百メートル」は、街の経済や交通の形を変える可能性を帯び始めている。

都市毛細血管としての移動機能

電動キックボード(画像:写真AC)
電動キックボード(画像:写真AC)

 電動キックボードが担おうとしているのは、鉄道やバスといった大きな交通網を支え、その隙間を埋める役目である。駅からオフィスへ、あるいは自宅から駅へ。そうした短い距離を、安く何度でも移動できる環境が求められている。交通全体の流れで見れば、これはタクシーとの役割の違いをはっきりさせる動きでもある。これまでタクシーが引き受けてきたものの、手間や費用が見合わなかったごく短い移動を、電動キックボードが担う。そうなればタクシーは、中長い距離で価値の高い移動に力を向けられる。街全体の動きも、いまより効率よく回るはずだ。

 そのためには、歩いてすぐの場所にポートがあり、安全が守られていることが欠かせない。さらに、実際の使われ方に合わせて車両の配置を見直す必要もある。役割は個人の移動に限られない。企業の営業や配送を支える道具としての使い道も広がるだろう。そうした環境が整えば、物件選びでよく聞く「駅から歩いて何分」といういい方も、以前ほど重みを持たなくなる。駅から少し離れていても、移動の負担が軽くなるからだ。これまで特定の場所に集まりがちだった経済の動きも、もう少し広い範囲へ広がっていく。土地の使われ方の偏りも、いくらか和らぐはずだ。

 今回の調査で印象に残るのは、環境が十分に整う前から、通勤や仕事での利用が広がっている点である。住宅地では通勤の割合が45.1%に達し、駅へ向かう手段として使われ始めている。ポートの数が十分とはいえない状況でも、これだけの需要が表れている事実は見過ごせない。

 商業地では、仕事での利用が21.0%となり、一般的な移動における13.9%を大きく上回った。ここに小さな変化が見える。歩くには遠く、タクシーを呼ぶほどでもない距離で、効率を求める働き手が電動キックボードを選び始めている。短い距離の移動を担ってきた既存の輸送業にとって、新しい競争相手が現れたともいえる。

 いっぽう、住宅地での通学利用は0.4%から0.7%と極めて低い。使いたい人がいないというより、学校の決まりなどが壁になっている面が大きい。動きたいという気持ちと、社会のルールのあいだにずれがある。それでも利用者は、いまの交通の不便さを自分なりに乗り越えようとしている。時間の価値を考え、無駄を減らす手段を自分で選んでいるわけだ。

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