「もう商売になりません」 路線バス事業者の99.6%が赤字経営――それでもあきらめない、地域住民が守る“最後の足”の挑戦とは

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全国の路線バス事業者の99.6%が赤字に直面するなか、地域住民が主体となる小型バス運行が注目を集める。岐阜・高山市では年間約1300万円のコスト削減に成功し、交通空白地での移動確保とコミュニティ形成の両立が進んでいる。

地域再生と生活の質向上

路線バスのイメージ(画像:写真AC)
路線バスのイメージ(画像:写真AC)

 住民が主体となるバス運行は、さまざまな都市や地域で例が見られる。筆者が各地で関係者に取材した結果、利用者の外出回数が増えることで生活の質が向上するだけでなく、運行に関わる住民自身も地域貢献や体を動かす機会を通じて健康面での効果を得ていることが確認された。

 また、小型バスの運行は、地域内の住民同士のつながりを生み、コミュニティー形成の支援にもつながる。運営支援の面でも、予約制の採用や地域住民ドライバーの活用により、行政の補助額を通常のコミュニティーバス運行より抑えられることがわかっている。

 総合すると、地域住民主体のバス運行は、足の確保という実用面で高い有効性を持つことが明らかである。

自助による持続可能な交通

住民主体による地域交通。
住民主体による地域交通。

 民営や公営の既存路線バスの運行が難しくなるなか、地域や住民自身が自助の観点で足を確保する方向性は、今後さらに一般化する可能性が高い。丸の内や日本橋のシャトルバスの例に見られるように、バス運行によって経済や集客面で効果を認められる機関の関与も、各地で起こり得るだろう。

 地方都市では、医療機関への送迎やデイケアなど福祉施設の共同送迎車の活用も現実的な選択肢となる。その際には、地域住民主体の協議会が運転者を確保しつつ路線網を拡大することも考えられる。

 行政は、車両購入や維持、燃費面での支援を重点的に行うことが重要だ。交通と福祉の融合を前提とし、コミュニティーバス運行よりも低コストで実現できた事例を踏まえ、持続可能な支援策の検討が求められる。

 自助・共助・公助のうち、自助の視点で地域の足を守る時代が訪れており、地域支援政策への理解もますます重要になるだろう。

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