「もう商売になりません」 路線バス事業者の99.6%が赤字経営――それでもあきらめない、地域住民が守る“最後の足”の挑戦とは
深刻な担い手不足と事業限界

既報の通り、いわゆる2024年問題で路線バスドライバーの労働時間上限が強化された。必要なドライバーが確保できなければ、路線の減便や廃止につながる。ドライバーの高齢化も進み、筆者(西山敏樹、都市工学者)の調査では営業所内の平均年齢が53歳~55歳の事業者も珍しくない。
事業者は人件費を捻出してドライバー確保に努めるが、全国的な平均年収は
「450万円~470万円」
にとどまる。長時間労働や心身への負担の割に報酬が低いことが、ドライバー不足に拍車をかけている。日本バス協会は2030年までに路線・貸切を合わせ約3万6000人のドライバーが不足すると試算する。
政府もバス業界の要望を受け、「道路交通法の一部を改正する法律案」を2020年6月に成立させ、2022年5月に施行した。大型二種免許取得要件を緩和し、年齢を19歳以上に引き下げ、普通免許取得後の経験年数も1年以上で取得可能とした。しかし、若年層のドライバーは依然として少なく、不足が続けば、10年後には今の路線バスの3割以上が地域から姿を消す可能性もある。
路線バスの利用者は長期的に減少傾向にある。全国的にモータリゼーションが進み、1985(昭和60)年以降の40年間で利用者は各地で減少してきた。特に2020年のコロナ禍で落ち込み、回復は十分ではない。福島県では、1996(平成8)年の利用者4614万人が2020年には1343万人まで減少した。四半世紀で利用者が3割程度にまで落ち込む事例は珍しくない。
・燃料費の不安定
・公共交通の運賃改定
・テレワークシフト
が進めば、各地で路線バス利用はさらに減る可能性がある。国の試算では、2065年に総人口が8800万人まで減少する可能性も指摘される。この環境下では、赤字経営が続き、ドライバー確保はより困難になる。自動運転への期待もあるが、
・管制システム導入
・電動車への投資
・DX人材の確保
など新たなコスト負担も避けられない。路線バスのビジネスモデルが揺らぐ懸念は、現実的な課題として目の前にある。