“純正ポップアップルーフ”はなぜ消えたのか? 「昔のマツダにはできて、今は無理なのか」――ボンゴフレンディが直面する現代の壁

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1995年登場のマツダ・ボンゴフレンディは、電動で屋根を持ち上げるオートフリートップで量産ミニバンに新たな居住価値を提示した。1126.5億円に達した国内キャンピングカー市場の拡大と重なる先進的な発想は、現代の車中泊ブームにも通じる。

復活のハードル

キャンピングカーの「購入目的」と「平均旅行日数」(画像:日本RV協会)
キャンピングカーの「購入目的」と「平均旅行日数」(画像:日本RV協会)

 では、マツダ・ボンゴフレンディに搭載された電動ポップアップルーフが、現代のミニバンやバンに再び採用される可能性はどの程度あるのか。キャンピングカー市場の拡大を踏まえると、車中泊やバンライフを前提にした車両への潜在需要は確実に高まっていると考えられる。

 キャンピングカーの主な購入目的は旅行であり、オーナーの約8割が旅行で利用していること、平均的な旅行日数は2泊3日以上が7割を占めることが各種調査で示されている。こうしたデータは、車内で

「快適に眠れる空間」

へのニーズが継続して存在していることを示す。2階建て空間を生み出すポップアップルーフは、遊び心のある一部の層を満足させるだけでなく、旅行や長期滞在を重視するユーザーにとって実用性の高い機能となる。

 しかし、かつてマツダが行ったように、メーカーが完成車としてこれを供給するには、衝突安全基準の高度化が大きな障壁となる。現代の車両開発では、屋根を構造体の一部として強度を高めることで、側面衝突や転倒時の乗員保護性能を守っている。屋根を切り欠くことは車体全体の剛性を大きく下げることにつながるため、補強部材を各部に配置せざるを得ず、製造工程が複雑化し、コストも大幅に上がる。

 さらに、メーカーがカタログモデルとして販売するには、国が定める型式指定の取得が必要だ。膨大な開発費用や衝突試験に用いる実車の破壊など、高額なコストがともなう。年間数千台規模の販売予測では、この投資を回収するのは経営上のリスクとなる。そのため現代のメーカーは、自社でリスクを背負うより、ベース車を供給し、外部の小回りのきくビルダーに加工を任せる形態を選んでいるのである。

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