“純正ポップアップルーフ”はなぜ消えたのか? 「昔のマツダにはできて、今は無理なのか」――ボンゴフレンディが直面する現代の壁

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1995年登場のマツダ・ボンゴフレンディは、電動で屋根を持ち上げるオートフリートップで量産ミニバンに新たな居住価値を提示した。1126.5億円に達した国内キャンピングカー市場の拡大と重なる先進的な発想は、現代の車中泊ブームにも通じる。

車中泊市場の拡大

年々増加するキャンピングカーの保有台数(画像:日本RV協会)
年々増加するキャンピングカーの保有台数(画像:日本RV協会)

 1990年代後半にボンゴフレンディが登場した当時と比べると、現在の日本では車中泊やバンライフという言葉が浸透し、クルマを

「動く部屋」

として使うライフスタイルが広がっている。日本RV協会の「年次報告書2024」によれば、2024年の国内キャンピングカー販売総額は新車・中古車合計で1126.5億円(前年比107%)となり、過去最高を更新した。この10年で市場規模はおおよそ4倍に拡大している。累積保有台数も増加が続き、2016(平成28)年に10万台を突破してから2024年には16万5000台に達した。旅行やレジャーに加え、

・災害時の一時的な住まい
・テレワーク用の個室空間

など、用途が多角化したことも普及を後押ししている。かつて個人の趣味領域だったものが、今では社会的な実用性を持つ市場へ成長した。市場には軽自動車から大型バンまで、ポップアップルーフやルーフトップテントを備えた車両が多数存在するが、多くはキャンピングカーメーカーや架装メーカーによる特装車やアフターパーツである。

 実際、トヨタや日産、ホンダなど大手メーカーの現行カタログで、一般ミニバンにポップアップルーフを純正設定した例は限られている。ボンゴフレンディのように、量販ミニバンに電動ポップアップルーフを組み込んだ純正カタログモデルは、今も稀少だ。大手メーカーは現在、自社の生産ラインを標準車両の大量生産に特化させ、手間のかかる屋根部分の加工を外部の専門業者に委託する水平分業の形態を選んでいる。

 これは製造効率を最優先した結果であり、メーカー本体が在庫リスクを負わずに多様なニーズに応える経営判断ともいえる。もし当時のようなコンセプトの車が今登場すれば、成長するキャンピングカー市場や新しい生活様式に適合した提案として、再び注目を集めるかもしれない。

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