「静岡空港を世界と直結させます」 ANA事実上撤退、どう打開? 3年で11倍成長の決済規格は変化を生めるのか

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地方空港の生き残り戦略として、富士山静岡空港はクレジットカード「クレカ乗車」を導入。2026年2月の利用件数は598万件に達し、空港到着後の移動効率と地域経済活性化を同時に狙う。

地域ICカードとの共存

静鉄バス(画像:写真AC)
静鉄バス(画像:写真AC)

 公共交通は本来、その土地で暮らす人々のためのものである。stera transitの利便性を地域住民に理解してもらうことは、空港利用者の利便性向上とは別の課題だ。

 静岡鉄道が発行する地域ICカード「LuLuCa」との折り合いには、熊本の5社のバスの事例が参考になる。同社はICカード機材の更新に多額の費用がかかることから、その約半分の6.7億円でstera transitを導入し、前年比102%の利用者増を達成した(同)。静岡鉄道も連結売上高1800億円超の余力のある中小私鉄であり、同様に効率的な投資を行える体力がある。

 住民の生活に馴染むLuLuCaは、ポイント還元などで顧客をつなぎ止める役割を維持する。一方、クレカ乗車は、自前でカードを発行するコストやチャージ機の保守費用を抑えつつ、外部の利用者をスムーズに受け入れる手段となる。三井住友カードは2027年春から、乗車額に応じた上限制の定期サービスを開始し、同年秋には区間式の定期サービスも提供予定だ。

 さらに、乗車によってVポイントが貯まる仕組みも順次導入される。自社の経済圏を守りつつ世界標準の規格を併用することで、現金管理の負担を減らし、経営効率を高める狙いがある。インフラの維持と収益性の確保を両立させる、現実的な判断といえる。

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