「地球は大事、でも明日届けて」 アマゾン排出量33%増の衝撃――利便性の追求が招いた、物流網の構造的変化
EV導入の限界
Amazonは自社専用の航空網を整備し、貨物事業を急速に拡大させている。在庫がトラックで運べる範囲にない場合、航空機の利用が避けられない。実際、配送における排出増の主因は航空輸送であり、2019年から2023年の間に航空部門の排出量は67%増加した。
抑制には、ジェット燃料の代替や航空輸送の削減が不可欠だ。しかし、事業成長を維持するためには、さらに航空網に依存せざるを得ない状況にある。
ラストワンマイルを担うRivian AutomotiveのEVも、10万台では荷物量の3分の1にしか対応できない。すべての荷物をカバーするには3倍以上の台数が必要だ。だが車両を増やすだけでは解決にならない。大型車両や長距離輸送では、バッテリーの重量が積載量を減らし、運行回数の増加を招く物理的な限界がある。
在庫配置が顧客需要に追いつかない現状を航空機で補う運用を続ければ、車両の電動化だけで目標を達成するのは困難だ。事業の収益構造を根本から見直すことが、持続可能な運用の出発点となる。
2023年、Amazonは欧州で鉄道と海上輸送の利用を50%拡大すると発表した。この判断は在庫移動の効率化につながり、輸送時の二酸化炭素排出量を50%近く削減できる見込みだ。転換を支えるのは、高度な需要予測技術である。
いつ、どこで何が必要になるかを精度高く見極めることで、航空機の速度に頼らずとも、時間の余裕がある輸送手段で事前に在庫を配置できる。
自社で直接管理できない排出量は全体の4分の3を占める。取引先の排出を抑える取り組みも欠かせない。荷物の流れを情報で制御し、配送速度に依存しない構造を築くことが、気候誓約の達成に近づく道筋となる。
情報を活用して物理的な速度を代替する取り組みは、環境負荷を抑えながら事業を継続する上で大きな意味を持つ。