「地球は大事、でも明日届けて」 アマゾン排出量33%増の衝撃――利便性の追求が招いた、物流網の構造的変化

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2024年、AmazonのCO2排出量は2019年比33%増。自社航空網やAI需要で膨張する物流とデータセンターが環境負荷を加速する中、気候誓約を通じた脱炭素戦略の成否が、企業と地球の未来を左右する。

排出量急増の背景

環境問題イメージ(画像:Pexels)
環境問題イメージ(画像:Pexels)

 気候誓約は、2050年までに排出量実質ゼロを目指すパリ協定より10年早い目標を掲げている。Amazonはこの取り組みを通じ、気候変動問題で主導権を握ろうとしている。低炭素製品やサービスを提供する企業への投資も進めており、行動の幅を広げている。

 投資先のひとつである新興電気自動車(EV)メーカー、Rivian Automotiveの車両を10万台導入すれば、2030年までに年間約400万tの二酸化炭素排出量削減が見込まれる。米国では2021年から荷物配達にEVを活用している。

 しかし、EVが活躍するのは顧客への最終配送に限られる。実際には荷物が届くまでに、飛行機や貨物船、大型トラックなど環境負荷の大きい輸送手段を経ている。特にお急ぎ便の多くは飛行機で運ばれ、配送による排出量は2019年の330万tから2023年には約580万tに達した。

 2019年比で75%増という数字は、末端配送の電動化の効果が航空輸送の拡大によって打ち消されていることを示す。配送スピードを追うほど荷物の積み込み効率が下がり、輸送の頻度が増える矛盾も生じている。

 米国や欧州で進むデータセンターの急拡大も課題だ。AI需要に建設が追いつかず、1棟あたりの電力消費が急増している。この不足を補うため、火力発電や原子炉開発を強化する動きも出ている。さらに、建設資材の生産過程で排出される温室効果ガスも無視できない。

 太陽光や風力は供給の安定性に課題が残るため、欧州では自前で変電所を設ける検討も進められている。

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