ハイブリッド車「670万台」大増産の衝撃――トヨタ“独走”の背後で忍び寄る、31年「EV逆転」の火種

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1.4兆円もの関税逆風を尻目に、トヨタが「HV 670万台」の異次元増産へ突き進む。世界シェア58%のHVを最強のキャッシュ創出源と位置づけ、2028年には生産比率を6割へ拡大。競合がEVで消耗する中、あえてHVへ資本集中する真意は、2031年の「EV逆転」という時限爆弾を前に反撃の「時間を買う」冷徹な合理性にあった。独走の先に待つのは勝機か、自壊か。

遅れではなく先送り

バッテリーEV戦略に関する説明会(2021年12月14日)(画像:トヨタ自動車)
バッテリーEV戦略に関する説明会(2021年12月14日)(画像:トヨタ自動車)

 トヨタは2021年12月にEV戦略を発表し、2030年までに30種類の新型車を投入し、EVの年間生産目標を従来の200万台(EVと燃料電池車の合計)から350万台(EVのみ)に引き上げる計画を示した。4年余りを経た現在、2025年度のEV販売台数は40万台余りにとどまり、依然として決定打となるEV技術は市場投入されていない。

 ただ、トヨタは全方位戦略を通じて多様な技術選択肢を保持しており、顧客ニーズに柔軟に対応できる体制を維持している。このことから、現時点での最大のリスクは技術そのものの不足ではなく、HVからEVへの移行速度にあると判断できる。HVでの成功モデルを築く一方で、EV移行のタイミングを誤れば、既存の優位性が将来の制約になりかねない。

 さらに、EV移行には資本、設備、人材の最適配分が不可欠であり、市場環境の変化に応じて投資を調整する必要がある。EV普及のペースや政策動向を正確に見極めることができなければ、HV中心の収益構造が逆に足かせとなる可能性もある。トヨタはこの状況を踏まえ、戦略的にタイミングを選びながら、HVでの収益確保と将来のEVシフトの準備を同時に進める構造を保持している。

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