EVを「残クレ」で買うのはアリ?ナシ? ── 「月額さえ安ければ」の裏で進む、残価率低下のリアル
米ハーツの3万台放出やテスラの値下げが招いたEVリセール低下は、中古相場を破壊し、低月額を支えた販売モデルを終焉へ導いている。残クレは今や数年後の巨額精算を強いる「負の爆弾」だ。補助金が金融コストに飲み込まれる中、車を資産ではなく消耗品と見なす、利用への強制転換という過酷な現実を解剖する。
捨てるべき資産価値の幻想

EVシフトの進展が示すのは、カーボンニュートラルという理想ではなく、車の価値が目に見えて減っていく現実である。これまで「資産」として扱われてきた自動車が、スマートフォンのように短期間で価値を失う消耗品へ変わった事実は、消費者の購買行動に直接的な影響を及ぼしている。
特にオープンエンド方式の残クレを選んだユーザーは、3年後や5年後の契約満了時に、夢から覚めるように現実の負債と向き合うことになるだろう。市場の価格変動リスクを個人が背負い、メーカーや金融機関が目を逸らす構図が続けば、健全な市場の発展は望みにくい。
「月額さえ安ければよい」
という考えは、数年後に自分自身を追い詰める“不発弾”となることを、再認識する必要がある。
今後は、自動車との関係が、所有権を重視する文化から、リスクを外部に移して利用に徹する文化へと変化していく。メーカーに求められるのは、航続距離や加速性能の優秀さだけではなく、ユーザーに損失を負わせない流通の仕組みである。バッテリーの価値を客観的に評価する基準の確立や、リスクを事業者が一括で引き受ける定額サービスの普及が、この混乱を抑える現実的な手段となるのだ。
目の前で起きているEVのリセール低下は、新しい移動の形態に移行するための、避けられない破壊の過程である。読者には、甘い営業トークや補助金に惑わされることなく、車というハードウェアではなく、移動という体験のコストを冷静に見極める姿勢を持ってほしい。