EVを「残クレ」で買うのはアリ?ナシ? ── 「月額さえ安ければ」の裏で進む、残価率低下のリアル
米ハーツの3万台放出やテスラの値下げが招いたEVリセール低下は、中古相場を破壊し、低月額を支えた販売モデルを終焉へ導いている。残クレは今や数年後の巨額精算を強いる「負の爆弾」だ。補助金が金融コストに飲み込まれる中、車を資産ではなく消耗品と見なす、利用への強制転換という過酷な現実を解剖する。
世界発「EV暴落」の連鎖

電気自動車(EV)はこれまで、環境性能や先進性ばかりが注目されてきた。だが、いま市場で問われているのは「購入後の価値」である。中古価格の下落は、個人の負担にとどまらず、販売店の経営や金融の仕組みの土台を揺るがす問題になっている。月額の安さを前面に出して普及を進めてきた販売方法も、現状では維持が難しい状況にある。価格下落の背景を整理し、契約時に見落とされがちなリスクを確認することが、EV販売の現状を理解するうえで避けて通れない。
価格下落には、複数の要因が絡み合っている。象徴的なのが、
「海外市場での供給過剰」
だ。米レンタカー大手のハーツは、2023年12月から再建計画の一環として約3万台のEVを売却した。この大規模な放出は、中古市場の需給を一気に乱し、相場を押し下げる直接的な圧力となった。ハーツの判断は、EVの保有コストや維持管理の負担が従来のガソリン車を上回ることを事業者自身が認めたに等しい。
追い打ちをかけるのが、テスラの新車価格引き下げである。シェアを守るための措置だが、この値下げは競合他社の稼ぎを奪うだけでなく、既存オーナーが保有する車両の価値も減らす。新車価格が下がれば、中古価格もそれに連動して下方修正を余儀なくされ、市場全体の価格体系が揺らぐ構造になってしまう。
日本市場でも状況は似ている。補助金の変動や充電インフラへの不安、車種選択の限られた状況が、需要の伸びを抑えている。こうした需要の停滞と供給の混乱が重なると、登録からわずか数年で予想以上の価値消失が起きる車種も現れる。