「黒字で赤字線を救う」は限界?――JR3社が内部補助を否定、100年前の鉄橋を誰が直すのか

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国鉄分割民営化から40年。輸送密度1000人未満の赤字ローカル線が拡大するなか、JR3社は内部補助の限界を宣言した。人口減と老朽化が進む地方鉄道の維持費を誰が負担するのか。国の責任と公共性の再定義が迫られている。

問われる国の責任範囲

閑散とした兵庫県西脇市の新西脇駅(画像:高田泰)
閑散とした兵庫県西脇市の新西脇駅(画像:高田泰)

 国鉄分割民営化から約40年、大臣指針から四半世紀が過ぎ、社会は大きく変わった。地方は若者の東京一極集中が進むなか、中山間地の集落が次々に消滅し、財政危機に陥る自治体が増えている。10年後に財政難と人手不足で自治体業務が回らなくなるとの見方が出ているほどだ。

 こうしたなか、新時代に合わせた公共交通の再構築は当然だろう。維持か廃止かだけの議論ではなく、公共交通を地域のインフラと捉え、維持コストを地域のためのインフラ投資として合意形成することも忘れてはならない。だが、現実は沿線自治体とJR各社が負担を押し付け合っているようにも見える。

 負担を決める際に問題となるのが、完全民営化したJR東日本、西日本、東海、九州の公共性をどう位置づけるのかだ。位置づけが変われば内部補助だけに頼るこれまでのやり方を変えなければならない。これまで通りなら、内部補助による一定の負担をJR各社に求める必要がある。

 最大の問題は国交省が完全民営化したJR各社の位置づけや全国ネットワークの路線のあり方について方向性を示さないことだろう。国は再構築協議会で行司役を務めるとしているが、国鉄分割民営化を決めた以上、全国ネットワークのJR路線に対しては当事者でないのか。

 現状のまま、自治体とJR各社の協議が続いても、議論が平行線をたどる一方で、簡単に決着がつくと思えない。有識者会議の中間取りまとめが出れば、国交省が早急に方向性を示すことが問題解決の第一歩だ。

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