「黒字で赤字線を救う」は限界?――JR3社が内部補助を否定、100年前の鉄橋を誰が直すのか
国鉄分割民営化から40年。輸送密度1000人未満の赤字ローカル線が拡大するなか、JR3社は内部補助の限界を宣言した。人口減と老朽化が進む地方鉄道の維持費を誰が負担するのか。国の責任と公共性の再定義が迫られている。
JR側の意見

JR3社が赤字ローカル線への公的補助を求めた背景には、地方鉄道を取り巻く環境の変化がある。日本の人口は2008(平成20)年の1億2808万人をピークに減少を続け、国立社会保障・人口問題研究所は2070年に8024~9549万人(25~37%)まで減るとみている。車社会も急激に進み、地方路線の乗客減や駅前のにぎわい喪失が既に各地で問題化している。
1980年代の国鉄改革では、輸送密度4000人未満の区間を特定地方交通線として存廃協議の対象にしたが、2024年度はJR西日本の管内だけで輸送密度1000人未満の区間が芸備線(岡山、広島県)、越美北線(福井県)など14路線28区間に上った。JR西日本は「今後さらに状況が厳しくなる。国策で維持するなら地域全体で支えてほしい」としている。
施設や車両の老朽化も頭が痛い。車両は通勤型103系、郊外型113系など国鉄時代の車両が今も現役。鉄道橋は適切な補修を続ければ100年程度利用できるとされるが、完成から100年前後の老兵が珍しくない。JR四国の富田川橋梁(徳島県徳島市、橋長92m)は1913(大正2)年、吉野川橋梁(同、橋長949m)は1935(昭和10)年完成だ。
車両更新や鉄道橋架け替えを先送りしても、乗客減は内部補助を拡大させている。民間企業だけに、際限のない赤字拡大は容認できない。JR東日本は「内部補助による路線維持が困難になっている。鉄道が持つ大量輸送の特性を発揮できない区間は、地域に最適な公共交通のあり方を考えたい」と主張する。