「残クレを笑う人間」は“情弱”である――年収1000万超の2割が「あえて」選ぶ理由、一括払いがリスクになる時代の辛らつ現実とは

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新車購入者1076人を対象にした調査で、残価設定ローン(残クレ)の利用は低所得層だけでなく年収1000万円以上の層でも21.7%に達することが判明。月々の支払額だけでなく資産の流動性や将来価値を巧みに活用する合理的な手段として、残クレの実態が浮き彫りになった。

変わる車の買い方

高所得層が「残クレ」を選ぶ理由。
高所得層が「残クレ」を選ぶ理由。

 今回の調査が突きつけた事実は、クルマを買うという行為が、「生活に必要なものを手に入れる」という枠組みを超え、高度なお金の運用の一部へと変わったということだ。

 自動車産業は今、技術が古くなる速度がかつてなく快速になっている局面にある。このような状況の中で、お金を全額「モノ」に固定し、価値が下がっていくリスクを個人で引き受け続けることは、経済的に見て極めて危うい。

 ネット上に漂う残クレへの嘲笑は、市場の変化に追いつけない古い「モノを持つ」という感覚が生み出した産物だろう。だが、データが示すように、お金の扱いに長けた人たちは、もうこの仕組みをリスクを減らすための有力な手段として組み込んでいる。彼らは移動の便利さを享受しながら、同時にお金を動かしやすい状態を保ち、技術革新の波に乗り続ける柔軟さを維持している。

 私たちに求められているのは、「一気に買うのが正義」という古い倫理観ではなく、数字の裏にある合理性を見抜く力だ。毎月いくらか支払うという目先のキャッシュフローに一喜一憂するのではなく、自分のお金全体をどう見方にしてこの仕組みを最も有利に使えるかを考え抜く力の問題である。つまり、残クレを笑う人は、単に“情報弱者”にすぎないのだ。

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