「残クレを笑う人間」は“情弱”である――年収1000万超の2割が「あえて」選ぶ理由、一括払いがリスクになる時代の辛らつ現実とは

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新車購入者1076人を対象にした調査で、残価設定ローン(残クレ)の利用は低所得層だけでなく年収1000万円以上の層でも21.7%に達することが判明。月々の支払額だけでなく資産の流動性や将来価値を巧みに活用する合理的な手段として、残クレの実態が浮き彫りになった。

現状と理想のギャップがもたらすもの

新車購入とお金の実態調査2026(画像:クルカ)
新車購入とお金の実態調査2026(画像:クルカ)

 誤解された金融商品は、誤った「自己責任論」を生む。

 日本社会は、2008年末の派遣村による身分の格差の露呈から、もう十数年を経て、固い階級社会へと変わっていった。社会学者の橋本健二氏が指摘するように、その中心には900万人を超える「アンダークラス」が存在する。正社員の年収の中央値が466万円に対し、非正規は178万円。大学を出た人の5人に1人が非正規という現実は、「頑張れば上に上がれる」という話の域を超え、世代から世代へと引き継がれる格差の分断を形成している(河合薫「アンダークラス900万人の衝撃:見えない貧困、固定化した格差、没落する中間層、「階級社会」の末路は?」)。

 特に注目すべきは、バブル期に就職した世代と比べ、就職氷河期世代の方がアンダークラスに落ちやすい傾向が、2倍近い水準まで強まっていたという事実だ。自分が病気になった、親の介護が必要になった、といった打つ手のない事象によって、誰でも今の位置から転がり落ちるリスクがある。このような、7人にひとりが貧困層とされる過酷な構造の中にあって、残クレという金融の仕組みをめぐる嘲笑は、苦しい人たちをさらに追い詰め、孤立させる障壁になっている。

 本来、この仕組みは「お金の配分を最も良い状態にする」ための選択肢のひとつとして、広く理解されるべきだろう。だが今の現状は、インターネット上での嘲笑と、実際の購入現場で高収入の人たちが冷静に使っている事実という、二つの認識が並んで存在している。この大きな隔たりがもたらすのは、収入が低い人たちに対する見当違いの道徳的攻撃や、金融リテラシーの誤った習得、そして制度そのものへの不信感である。

「どうせ無駄だ」という気持ちが社会を支配し、先へ進む力を奪うなかで、「一気に買うのが正義」という古い価値観に固執する人たちは、自分のお金を価値が急に下がりやすい「モノ」に縛り付け続け、その分だけ損をし続けている。

 一方で、金融の仕組みを徹底的に使いこなしている人たちは、常に最新の安全技術と、お金を動かしやすい状態を維持し続ける。この認識の乖離は、感情的な対立を超え、長期的にお金を増やすにあたる情報の不均衡が生んだ、残酷な格差を、さらに広げる要素になっている。

 経済的に合理的な判断が、偏見やレッテル貼りによって妨げられている実態は、市場全体の健全な発展を妨げているのは事実だ。

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