2025年の摩擦――統合を阻んだ「将来戦略」「文化」「車載OS」という3つの断層【短期連載】日産はホンダと再び歩みを進めるべきか(2)

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日産とホンダの統合破談は、将来戦略・企業文化・車載OSの三つの断層が重なった結果だ。欧州98%、米国40%を目標とする日産と、2040年EV100%を掲げるホンダ。技術的蓄積の差も明暗を分けた。

ホンダに足りなかった「したたかさ」

日産・ホンダ 統合破談について。
日産・ホンダ 統合破談について。

 日産とホンダには「将来戦略の断層」「文化の断層」「車載OSの断層」があったとしても、ホンダにとって統合で得られる技術的な利得は大きかった。

 量産型EVの投入時期を比較すると、日産は2010(平成22)年の「リーフ」、ホンダは2020年の「ホンダe」と10年の差がある。技術的な経験値や知見の蓄積という点では、この10年の差は非常に大きい。この蓄積は、ホンダがいくら努力してもすぐには得られないものである。

 さらに日産には核となる技術が存在する。プロパイロット、e-4ORCE、e-Pedalなどである。特にe-4ORCEはハイブリッド車のe-POWERがあってこそ進化した技術であり、ホンダにはない。統合の検討段階で、持株会社比率や完全子会社化の議論が進むなか、ホンダには

「日産を救済する側」

という意識が強く働きすぎたのではないか――。対等でないという認識から始めた時点で、戦略は誤った方向に傾いた。

 日産は、ホンダにはない技術・知見・知的財産を多数抱えている。もしホンダが

「日産にとって好条件で統合し、日産の技術を隅々まで吸い尽くす」

くらいのしたたかさを持っていてもおかしくなかった。ホンダの独立独歩の姿勢や実直さは確かに強みだが、世渡りの面では後れを取る。長年培われた技術や文化の矜持は、歴史ある自動車会社ならではの「千年の都(京都)」のような重みがある。

 日産とホンダの統合破談には、資本の論理だけでは埋められない技術的・文化的な断層が存在した。次回は、技術や文化ではなく、会社経営の視点からこの世紀の破談を読み解いていく。

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