2025年の摩擦――統合を阻んだ「将来戦略」「文化」「車載OS」という3つの断層【短期連載】日産はホンダと再び歩みを進めるべきか(2)
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日産とホンダの統合破談は、将来戦略・企業文化・車載OSの三つの断層が重なった結果だ。欧州98%、米国40%を目標とする日産と、2040年EV100%を掲げるホンダ。技術的蓄積の差も明暗を分けた。
日産とホンダの「車載OSの断層」

ソフトウェア定義車両(SDV)戦略における「車載OSの断層」も、日産とホンダが解決すべき課題だった。
ホンダは2025年1月8日、車両全体を制御するオペレーティングシステム「ASIMO OS」を発表した。統合協議の最中での発表だった。舞台は米国ネバダ州ラスベガス市で開催されたCES 2025である。2024年12月23日の経営統合に向けた検討開始時点ですでに発表は決まっていたと思われるが、それでも唐突な印象は否めない。
一方、日産はこの時点で車載OSについて何も明らかにしていなかった。日産の車載OSの片鱗として「Nissan Scalable Open OS」が示されたのは、2025年12月に入ってからである。この中で日産のSDV開発には、迅速かつ継続的な価値提供、必要な安全性と性能の確保、EVやHV、ガソリン車を含むすべての顧客へのSDV提供という三つの目標が掲げられていた。
前のふたつは普遍的な目標であるが、最後の「すべての顧客へのSDV提供」は野心的な目標である。この点でホンダの「ASIMO OS」と日産の戦略は異なる。
問題は、日産の車載OSに関する情報が日産自身ではなく、共同開発を行う米アマゾン・ドット・コムのクラウド部門AWSから発表されたことだ。公式発表ではない以上、構想段階か社内で意思統一が図れていないことを示す。
日産は統合破談から1年経過した現在でも、車載OSに関して態度を決めきれていない。仮に統合の検討を継続していたとしても、日産とホンダの「車載OSの断層」は横たわったままだったにちがいない。