「残クレ」を利用していい人・絶対にダメな人――決定的な分岐点とは何か? 5人に1人が選ぶ「所有しない」買い方の実態

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新車購入者の約5人にひとりが選ぶ残価設定型ローン。ネット上では「見栄購入」「返却リスク」への批判が飛び交うが、実態は負債管理と市場構造を反映した高度なローン仕組みである。

残価保証という誤解

 残クレで差が生まれる理由ははっきりしている。通常のローンは返済が進むにつれて借入残高が減っていく。ところが残クレは、契約期間の大半で残高がほとんど動かない。この負債の据え置き構造が、家計への影響を大きく分ける。

 もうひとつ重要なのは、残価が法的に保証された金額ではない点だ。事故や盗難が起きたり、市場環境が変わったりすれば、当初の想定と実際の下取り価格は簡単にずれる。その差損は原則として契約者が負うことになる。

 中古車市場も安定していない。これまで値崩れしにくいとされてきたミニバンやSUVでも、供給が需要を上回る場面が出てきた。残価は過去の取引を基に算出されるもので、将来の価値を約束するものではない。

 特にソフトウェア定義型車両(SDV)への移行が進むなか、技術的な陳腐化のスピードは機械としての寿命を追い越そうとしている。5年前の電子機器に価値がつかないのと同じように、古くなった車両の残価が崩壊するリスクは常に存在する。

 残クレは通常のローンと変わらない、という意見もある。しかし、返却や精算の条件によって負担が一気に表面化する避けられない仕組みは、既存の割賦販売とは決定的に異なる。保険で対応できるという見方もあるが、市場価格の全体的な下落までを補填する方法はない。消費を活発にするから問題ない、という考え方もあるが、家計に過度なレバレッジをかける前提の支出は、長期的に見れば市場の健全な循環を阻害する要因となる。

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