「残クレ」契約者が急逝――遺されたのは「高級車」「多額の借金」、遺族を襲う「負の遺産」のリアルとは
- キーワード :
- 自動車
新車購入の約2割が残価設定型ローン(残クレ)を選ぶ時代。月額抑制の利便性の裏で、契約者死亡時の債務処理や相続のリスクが顕在化せず、家計構造に潜む危険が浮き彫りになっている。
問われるべきは制度の透明性

この問題において、解決すべき本質はどこにあるのか――残クレという仕組みそのものや、高価な車両を選択すること自体を否定すべきではない。真に問われるべきは、
「所有権を持たない車両を、誰がどの段階でどのように精算するのか」
というルールが、契約者本人やその家族に全く可視化されていない点にある。
自動車は移動の自由を広げる一方で、残クレという契約形態によって、個人の家計に硬直的な経済的制約を持ち込んでいる。操作性や安全性といったスペックへの関心に比べ、車両を金融資産としてどのようにクローズさせるかというリテラシーが、ユーザーと業界の双方で成熟していない。
残クレの課題は支払い能力の問題というより、人生における不測のリスクを想定した仕組みの欠如にあると断じたい。具体的には、死亡時の債務処理が契約に組み込まれていない点、負債と資産価値の帰属が一致していない点、そして車両の損耗データが相続時の判断に活用されていない点の三点に集約される。
これは個人の不注意ではなく、制度の不備が生んだ構造的な欠陥ではないか。