新宿の名門私鉄「海老名シフト」最終段階――本社一部移転、自ら新宿から「移住」する異例の本気度

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小田急電鉄は海老名駅西口「ViNA GARDENS」にファミリー棟とホテル棟を建設し、全9区画の開発を完了する。海老名駅は1日約14万人が利用する鉄道の要衝で、本社一部移転により現場との連携も強化されている。

開発余地の大きい鉄道要衝

包括連携協定を締結した海老名市の内野市長と小田急電鉄の星野社長(現会長)(画像:小田急電鉄)
包括連携協定を締結した海老名市の内野市長と小田急電鉄の星野社長(現会長)(画像:小田急電鉄)

 では、なぜ小田急は海老名にこれほど集中投資を行うのか。

 小田急が公表している2024年の1日あたり駅別乗降客数では、新宿が約45万人で1位、代々木上原が約27万人、町田が約26万人、登戸と藤沢がそれぞれ約16万人となる。海老名は約14万人で6位となっており、市の人口にほぼ匹敵する数字だ。近年は県央の中心都市である厚木の本厚木駅を上回っている。

 海老名駅には小田急小田原線のほか相鉄本線が乗り入れている。やや離れた場所にJRの海老名駅もある。ViNA GARDENSの開発以前、これらの駅の間には広大な空閑地が広がっていた。海老名駅は3路線が交わる鉄道の要衝であり、沿線でも屈指の乗降客を抱えるにもかかわらず、駅前には開発余地が大きく残されていた。

 前述のとおり、小田急は沿線の未開地を比較的自由に開発してきた歴史がある。海老名はその意味で、沿線開発の「ラストフロンティア」といえる。

 もうひとつの理由は、小田急と海老名市との関係の深さである。両者は以前から駅周辺のまちづくりで協力してきた。2024年2月には、防災や保健福祉、教育など多分野に及ぶ包括連携協定を締結している。小田急電鉄の星野晃司社長(当時、現会長)は、同市の内野優市長とは高校時代の同級生だったことを地元メディアで明かしている。

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