EVバッテリー革命? 「純度99.79%リチウム」回収に米研究チームが成功、リサイクル率5%の壁を突破なのか

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使用済みEVバッテリーから純度99.79%のリチウム回収技術が実証された。リサイクル率わずか5%の現状を一変させ、環境負荷低減とサプライチェーン強靱化を両立。次世代バッテリー実用化競争の行方に注目が集まる。

湿式冶金の進化が切り開く高品質リサイクル

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 こうした課題に対し、使用済みEVバッテリーから高純度のリチウムを回収できるリサイクル技術が実証段階に入った。

 米ウースター工科大学(WPI)の研究チームは、従来の制約を克服する湿式冶金プロセスを開発した。環境負荷を抑えつつ、使用済みバッテリーを安全に分解・前処理し、溶解工程を経てリチウムや他の金属を抽出する。化学処理を精密に制御し、抽出工程を最適化することで、純度99.79%の炭酸リチウムの回収に成功した。

 この純度は一般的なバッテリーグレードを上回る。新たな電池製造への再利用が可能な水準だ。回収したリチウムを用いて作製した正極材料は、電気化学試験で市販品と同等の性能を示した。複数回の充放電を重ねても、容量は安定して維持されている。

 環境面では、強酸の使用を抑えることで有害廃棄物の発生が減少する。作業時の安全性も高まる。エネルギー効率の高い工程を採用することで、二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減にもつながる。脱炭素の観点からも意義は大きい。金属回収率が高まれば、新規採掘にともなう土地改変や水資源の消費、地域社会との摩擦を和らげる効果も期待できる。

 注目すべきは、この技術が使用済みバッテリーを新たな電池製造に戻す「閉ループ型サプライチェーン」の実現性を示した点だ。バージンリチウムへの依存度は低下する。一次資源の採掘にともなう環境負荷も大きく抑えられる。

 経済面の効果も無視できない。バッテリーグレードの材料を地域内で生産できれば、サプライチェーンの強靱性は高まる。特定地域への資源依存も減る。工程の効率化と省エネルギー化が進めば、運用コストは下がる。リサイクル金属を一次資源と競争できる価格帯に近づける可能性がある。循環型エコシステムは、持続可能なビジネスモデルの構築と中長期の投資を後押しする。

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