「私鉄王国」に潜む廃線通告! 100km超路線の「老舗ローカル線」を救えない自治体ジレンマ

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人口減少と燃料高騰で収支が逆転する富山地方鉄道は、一部区間廃止の一時回避に留まる。総延長108kmの大規模地方私鉄は、自治体支援や「みなし上下分離」を軸に、新たな鉄道再生モデル構築が求められている。

地方鉄道再生モデルの期待

立山駅から先のアルペンルートは世界屈指の山岳観光地(画像:立山黒部貫光)
立山駅から先のアルペンルートは世界屈指の山岳観光地(画像:立山黒部貫光)

 前述のとおり、2025年11月22日の協議時点では、富山地方鉄道が自治体に示していた一部区間の廃止は一旦回避された。しかし、富山県などが示した支援措置は一時的な延命に過ぎず、路線の継続的な存続は現時点では不透明である。

 特に本線の滑川~新魚津間は、富山県が株式の過半数を占めるあいの風とやま鉄道と完全に競合する区間であり、両社の調整は容易ではない。地図上では、並走区間を廃止し、電鉄富山から滑川方面、新魚津から宇奈月温泉方面の列車をあいの風とやま鉄道に乗り入れさせれば重複区間を解消できそうだ。しかし、現実はそう単純ではない。

 両社の線路幅は同じ1067mmであるものの、鉄道は電気系統や信号など複雑な設備・技術によって成り立っている。そのため簡単に乗り入れられるわけではない。

 既に2026年度から「みなし上下分離」方式で不二越上滝線を維持する方針を示した富山市も、「ライトレール以来の大事業になる」としている。財政負担を含め、今後詰めるべき課題は多い。

 鉄道として存続させる意義の是非は別として、存続させるなら、富山地方鉄道と自治体はこれまで以上に知恵を出し合う必要がある。新たな地方鉄道の存続・再生モデルとなることが期待される。

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