スーパーの棚から商品が消えた──「お弁当」「冷凍食品」「日用品」まで買えなくなる日常危機の正体

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スーパーの棚から商品が消え、牛乳や日用品が手に入らない──そんな日常の不便は、物流網に直撃するサイバー攻撃の兆候でもある。

復旧長期化のリスク

サイバーセキュリティのイメージ(画像:写真AC)
サイバーセキュリティのイメージ(画像:写真AC)

 アサヒGHDとアスクルのランサムウェア被害は、基幹システムに各業務プロセスのデータを集約していたことが根本原因と考えられる。オンライン上のバックアップデータも同じシステムに存在する場合、暗号化や破壊の影響を受ける可能性が高い。部分的にバックアップが残っていた場合でも、他のデータとの整合性の確認や侵害範囲の特定、安全性の証明には時間がかかり、復旧作業は長期化するリスクがある。2021年7月に同様のサイバー攻撃を受けた大手食品メーカーのニップンは、復旧までに約6か月を要した事例がある。

 アサヒGHDは12月上旬以降に一部商品の受注を再開し、2月までに物流業務全体の正常化を目指す方針を示している。業務体制が完全に整うのは2月以降になる見込みである。同様にアスクルも、同月から一部ECサイトの運用と商品の受注を再開し、段階的に本格復旧を進める計画である。

 今回の事例は、DX推進によって業務効率や生産性向上を重視した結果、物流網全体の脆弱性が可視化されたことを示している。特に、都市間配送や地域配送を含む交通・物流網の観点から、障害発生時に物流の再配分や迂回経路の確保が困難になり、供給遅延が広域に波及する可能性がある。今後は、バックアップ体制やネットワーク経路、アクセス権限、事業継続計画(BCP)の見直しに加え、配送ネットワーク全体の柔軟性を高める戦略も不可欠である。

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