スーパーの棚から商品が消えた──「お弁当」「冷凍食品」「日用品」まで買えなくなる日常危機の正体
スーパーの棚から商品が消え、牛乳や日用品が手に入らない──そんな日常の不便は、物流網に直撃するサイバー攻撃の兆候でもある。
ランサムウェアの脅威

2025年9月27日、大手飲料・食品メーカーのアサヒグループホールディングス(アサヒGHD)のシステムが外部から不正アクセスを受け、機能停止に陥った。同年10月19日には、EC事業を展開するアスクルとそのグループ会社も同様の事態に直面した。
両社のシステムには身代金要求型のランサムウェアが仕掛けられ、重要データが暗号化されアクセスできなくなった。ランサムウェアは世界的に被害が増加しており、攻撃手法も日々多様化しているため、防御の難易度は高い。
さらに厄介なのは、国のDX推進に伴い、業務効率化やコスト削減を目的にデータを基幹システムに集約していたことが影響を拡大させた点だ。受注や在庫管理、出荷、請求などの業務が一元化されていたため、システム障害が発生すると全体の停止につながりやすく、影響範囲が広がった。
物流や配送を巻き込んだこうした障害は、サプライチェーンの運行や輸送スケジュールにも直接的な影響を与える。特に都市間輸送や地域配送に依存する事業者は、遅延や停滞の連鎖により、輸送効率やコスト構造の見直しを迫られる可能性がある。取引先からは出荷遅延やシステム停止への懸念が相次ぎ、アサヒGHDは国内の工場でシステムを一時停止し、手作業での出荷対応を行った。国内大手ビールメーカー4社の市場シェアは約35〜40%であるため、飲食店や小売業者への影響も大きい。
アスクルも物流施設を停止し、国内全域の事業者や個人ユーザーに影響が及んだ。法人向けECサイト「ASKUL」や個人向けECサイト「LOHACO」、物流を委託していた企業も被害を受け、発覚から1か月以上経過しても手作業での出荷が続いている。物流インフラに依存する経済全体への影響が顕在化した事例だ。