中国の国有航空機メーカー「COMAC」、今後“中国版ボーイング”になれるのか？ 国家戦略で挑むC919と国際認証への道
中国初の国産旅客機C919が商業飛行を開始。政府支援で1200機超の受注を抱える一方、エンジンやアビオニクスは欧米依存。国内優位を背景に国際市場への挑戦が始まる。
国内温室での需要確保
COMACの最大の強みは、中国という世界でも最大級の航空市場を背景に持つことだ。政府は航空産業の育成を国策として推進しており、
・中国東方航空
・中国南方航空
・中国国際航空
の三大国有航空会社だけで1000機を超えるC919の注文が入っている。将来的には、これらの保有機材の多くがC919に置き換えられる可能性が高く、国内市場の安定した需要が企業成長の下支えとなる。
年間数千万人規模の旅客が移動する中国の空港網は、COMACにとって訓練の場であると同時に、製品改良や運航データの蓄積を効率的に行える環境でもある。国内運航を通じて、安全性の実績を積み上げ、運航コストや整備負荷のデータを蓄積することで、将来的な生産・保守体制の確立が現実的になる。
また、国内での実績はCOMACの国際展開を考える上で重要な基盤となる。競争力を示すためには、単に機体の性能だけでなく、保守や部品供給体制の信頼性が求められる。国内市場での経験は、こうした信頼性の確立や、関連する航空インフラとの連携のテストにもなり、企業として次のステップに進む準備期間としての意味を持つ。